人と自然と建築と

nonobe's diaryーArchitect Message

endless thema -130-----ブログに引っ越しました。

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「マンスリーホットライン」が終了し随分と月日が経ってしまったが、ブログに移行しこれまでと同じテーマで進めて行こうと思っている。裏庭のホトトギスは未だに咲いている。久しぶりにやってきたルリタテハ。最後の蛹が羽化し羽を広げている。

 

校友会の小冊子から書き始めた「人と自然と建築と」。あれから幾歳月が経ったのだろうか、未だに軽妙な文章はなかなか書けない。と言っても自分なりのmessageは伝わるだろうと思い、こころ新たに進めて行くことが寛容なのだろうと考えている。

設計事務所を主催し30年が経った。設計事務所の大半の仕事は考えること。紙と鉛筆そして記憶媒体があればいつでもどこでもできることが多い。勿論なくても四六時中考える。既固定概念にとらわれることのない思考と創造。技術だけではなく、そこにある空気や匂いや質感をどう表現できるかが重要なことのように思う。

 

六月始めに更新の予定であった。突然、ネットに繋がるパソコンに異変が起こり、結果買い換えの決断に至った。そして、今やっと気持ちも平常に戻った。戻ってみると普通が一番いいと感じるこの頃である。書き上げてあった本編は修正して近日中の更新と思っている。

Vol.134「endless thema - 129」(17年02月)

 

--------二月・最終回ですが、つづきます/空気感

 

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雪どけの音

 

年明けの寒の内、小寒水泉動のころに京都でも雪景色になった。
雪の白さは日差しに反射してきらきらしている。
しんしんとした雪音は、日が昇り、次第に雪どけの音に変わってくる。
マンスリーホットラインの endless thema は129編となった。
他にworks が二編と建築家シリーズが三編とで「人と自然と建築と」は134回の連載になった。
校友会設計同人の小冊子「れんじ」から書き始め、今回マンスリーホットラインでは最終回となったが、いつもと変わらず、毎回と同じ書き方でmessageとしたい。

 

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平等院鳳凰堂

 

京都宇治にある平等院の話はバックナンバー2014年12月号に鳳凰堂のこと、そして2015年1月号でも少しふれ、
平等院には国宝の鳳凰堂の近くに宝物館ミュージアム鳳翔館という建物が併設している。鳳翔館は栗生明の設計で2001年の開館である。生い茂る樹々で緑の多い境内であろうが、異種の用途で異なるざわめきもあることだろう。大半が地下にある建物で地階からのアプローチになり、出口がグランドラインとなる。まだ鳳翔館に訪れていないが古建築と洗練されたモダンな鳳翔館との狭間にはどんな空気が流れているのか。そして鳳翔館に導かれたエントランスに立ったとき、そこから見える風景からは何が見えるのだろうか。」
と、書いた。

 

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鳳翔館南門側からのアプローチ

 

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鳳翔館エントランス

 

その鳳凰堂と鳳翔館との空気感を見てみたく拝観することにした。
昨年の木立がまだ黄紅葉のころ、車で国道 24号線をひたすら南下し、門前の駐車場に車を止めた。
南にある門前からは、あじろぎの道を北に行き北側の表門から境内を散策し、池を回り鳳凰堂正面をとおるアプローチが望ましかったのだが、そのまま南門から入ってしまった。
視線の先には鳳翔館の地上部、つまり出口側にあたる。
右手に鳳翔館を見ながら伏見桃山城からの移築といわれるアカガシで出来ている旧南門を入り、境内西側から鳳翔館の入り口にたどり着いた。

確かに阿字池を介して浮かぶ鳳凰堂の風景とは違う空気感。
今から始まろうとしている静かな期待感である。
鳳翔館の正面の壁には視線の位置ほどのところに「鳳 翔 館」の文字が取り付けられている。
近づくにつれ視線は壁に添って自ずと細長い廊下に導かれる。
常設展示の空間には、平安の伸びやかで巧みに造られた、雲に乗る雲中供養菩薩像や一対の鳳凰が間直で見られる。

 

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鳳翔館レストスペース廻り

 

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配慮されている府道側へのビュー

 

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鳳翔館出口付近の長い大きな階段

 

出口側グランドラインとなるミュージアムショップ周辺には、リファレンスコーナーの設置やレストスペースなどの遊び心のある空間が設けられている。
大屋根の空間の下に設けられたレストスペースはアウトドアだがインドアのようにも感じ、そのファジーさは居心地がいい。
南側門前の府道への視線など当然のことだが配慮されている。
アーバンな感じと日本的とも思えるこの現代建築の空間は暫しのやすらぎを覚えるような時が流れている。
そして「建築物は裏表をつくらず。」のとおり、入口出口表裏問わず、高低差を利用し巧みに計画されている。

レストスペース廻りの空気感も然ることながら、古建築と現代建築の狭間の微妙な空気感はmajor 7 の和音のようだ。
三音+1音で表現されるこの不思議で美しい和音のように、そして majorとminorが共存したゆれうごく音の狭間で互いに呼び合うような透明感があるように思えた。

 

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ハゼの黄紅葉

 

次回からは、ホットラインさんにお世話になりブログで、不定期にはなるだろうが続けていくことにした。
テーマは同じ「人と自然と建築と」。(http://nonobe.hatenablog.jp
窓辺に置いたハゼの葉がやっと黄紅葉し始めた。
毎年ならとっくに落葉しているのに自然は不可思議であるが、正直でもある。
ロン・カーターのアルバム「THE GOLDEN STRIKER」を聞きながら、温かいアールグレイでも煎れてひといきといったところか。

 

*****

 

 

 

Vol.133「endless thema - 128」(17年01月)

 

--------始まりの月/鳥衾いろいろ

 

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ワビスケ

 

我が家の前庭のシロワビスケは暮れにはまだ間もある頃に咲き始めた。
気がつくと少しだけ静かに咲いているワビスケだったのだが、いつもよりおびただしく思うほどに白い花をつけている。
ラッパのような咲きかたで全開しない控えめなワビスケで中央の黄色のおしべも整然と密集して形もいい気がする。
気候の為か早くからにほやかにほほえむように咲いている。

今年の干支は酉。毎年の賀状にはその年の干支名がつく建築語彙を紹介している。
今年は屋根の鬼瓦の上に乗る鳥衾/とりぶすま。
鳥休ともいう突き出た円筒形の瓦である。
短めでほどよい反りから長くそして反り上がり誇張された形状のものまで形はさまざまである。
良し悪し好き嫌いは嗜好の範囲だろうか。
建物を見るときにまず最初に視線に入る屋根の印象をつくる古建築の重要な要素でもある。

 

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浄土寺浄土堂

 

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浄土寺浄土堂

 

兵庫県小野市にある奈良期の浄土寺浄土堂は大仏様の建築様式である。
その特長のひとつである鼻隠しが垂木の先端に設けられている。
隅棟は稚児棟付きで冠瓦から先太りの鳥衾へと穏やかな反りである。
稚児棟と二の棟の熨斗の差が大きく、稚児棟のそりも少なくその分一の鬼も小さくなり全体的にシンプルである。

 

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元興寺極楽坊

 

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東福寺六波羅

 

奈良町の国宝元興寺極楽坊の隅棟は、ゆったりとおおらかな軒反りの屋根に短いが先の反りがはっきりとした稚児棟の付いた隅棟で均整のとれたつくりが美しい。
少し成のある亀伏間瓦の冠瓦が載る低い目の隅棟は、直線的な屋根反りに先端のそりを大きくしてあるが、鳥衾の出は小さく小口も円で巧くできている。
屋根瓦の色が茶色くうすく見えるのは、行基葺で古瓦を再使用してあるためである。
京都東福寺六波羅門の大棟の鳥衾は、鎌倉前期建立で高めの棟に角の付いた凛々しい鬼に長めの鳥衾は先端が尖り気味にみえる。
それを和らげるかのような平式破風瓦の妻側の箕甲は気品が有りなかなか美しい。
鳥衾の先端に見える棒のようなものは避雷針で文化財を守っている。

鳥衾のスクエアーの小口は円形に近いほどおだやかに見えて美しい。
反りに合わせ斜めに切り込むほどに小口は楕円となる。
お堂には稚児棟のつく隅棟が多いが、一の鬼と二の鬼の鬼板の間隔や熨斗の枚数や反り加減で表情は変わる。
例外も有るが短いものは古い時代に多く近世になるにつれ長く反り上がり尖りぎみになるようだ。

 

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薬師寺本堂軒先廻り

 

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東大寺法華堂礼堂正面

 

奈良町の国宝新薬師寺本堂の鬼板の間隔は短いが隅棟のバランスもよく力強いなかにも伸びやかな軒によく似合っている。
はっきりとした年代は不明だが天平期のおおらかな建物であり、柱頭に大斗、肘木で構成される建物である。
東大寺の法華堂(三月堂)は鎌倉期の正面礼堂 raidou と天平期の正堂をつなぎ合わせた建物である。これも美しい。
余談だが、法華堂正堂内の中央あたりに、向きの違いだけなのか組み物の大きさの違う斗がある。
何かの時点で入れ替わったのかもしれない。大きさの違う斗は東寺にもあったように記憶する。
食堂か講堂だったか南面の左手に一カ所あると記憶する。
大きさが違うのは斗の向きのせいだけなのか、未だ少し気にかかっている。

 

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ジンチョウゲの蕾

 

前庭のジンチョウゲの蕾もにぎわい始めた。
始月大寒を迎える頃、寒さが峠にさしかかると蕾もやっと白く色づき始める。
綻ぶほどにはまだまだ時間のかかるジンチョウゲだが、寒さも和らぎ窓先から馥郁と咲く穏やかな日が待ち遠しい。

 

*****

 

Vol.132「endless thema - 127」(16年12月)

 

--------十二月/赤い葉、赤い実

 

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古木のサクラ

 

紫明通の中央に連なる紫明せせらぎ公園も、もうじき冬景色になる。
地面には黄紅葉した落葉が重なりあい絨毯のようだ。
紫明会舘の入り口にある古木の桜も美しく紅葉し、せせらぎ公園の景色にとけ込んでいる。
今月初めは橘始黄/たちばなはじめてきばむ。
柑橘類の橘の実が黄色く色づき始めるころをいう。
冷え込みが深まるにつれ、裏庭のホウチャクソウの葉は黄葉し少しづつ姿を消してゆく。
鉢植えの深紅に色づいたカマツカの葉や少し遅れ気味だが紅黄葉したマユミの葉に初冬の訪れを感じる。

 

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受け金具

 

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懐かしい形のストッパーも見える

 

久しぶりにガラス戸棚の汚れを落とした。
二十年余前実家の建替えをする際、生前父が診療所で使っていたキャビネットを引き取り、塗り替えをし、ガラスの部分には器を入れて使っている。
微かに匂う消毒液の匂いは、子供のころの記憶に重なる。
ガラスの棚板を外すと、白く塗りかえた丸い受け金具の形のいいのに眼がいく。
内側を拭くとき以外はガラスの棚板を外すこともないが、受け金具がこんな形だったかとあらためて見つめる今である。

 

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襖に使っている引手

 

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ツマミ

 

小さな抽き出しや戸のつまみは、塗り替えた時に取り替えたのだが、シンプルなデザインはかれこれ三十年程前の「Ohshima」のプロダクツで、フロストと名づけられている。
微妙な光沢と深みのある色合いは色褪せることもなく、そのいくつかは現在も市販されている。
和桜の合板を貼った本棚のつまみの引手、建具のガラス戸の引手や2階の和室の襖の引手にもこのシリーズを使っている。
襖に使っている引手は、本来は襖用ではなく木製建具用のものを使っている。
そのため両面に使うと襖の見込み寸法に厚みが合わず、召しあわせる反対側に少しあそびがでる。
襖に使うには一回り大きくヘリも広い。
しかし手が触れたときの感じもよく、数年前に張り替えた色を感じるほどのネズ色の手透き和紙によく似合う。
少し濃いめの紙色だったが時間とともに色も落ち着き気に入っている。

 

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センリョウの赤い実

 

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少しだけ残ったヤブコウジの赤い実

 

暮れが近づくと我が家の庭も赤い実で賑わってくる。
今年も沢山の実をつけたセンリョウの赤い実、少しだけ残ったヤブコウジの赤い実、もう少し時間のかかりそうなモチノキの赤い実や、ジュズサンゴの赤橙の実。

この時季、外気は気温の低下につれ湿度も低くなる。
ダニは湿度50%ほどになると動きが弱まって来る。
そして47%を下回ると自ら乾燥し始めるらしい。
気になるものは陰干しにし、からっとさせるのがダニの繁殖を抑えるのに効果がある。
高温多湿の室内環境はダニの繁殖にもってこいとなる。
冷え込む季節だが、適度の換気を心がけることも必要である。

 

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生垣のサザンカ

 

今月二十一日は冬至。一年で昼は最も短く、夜は最も長くなる。
裏庭の八重のツバキの蕾がふっくらしている。
前庭の白ワビスケの蕾もはち切れんばかりに大きくふくらんでいる。
生け垣のサザンカは、先月の山茶始開(つばきはじめてひらく)を過ぎた頃から咲き始めている。
年が開けてもなお長く咲き続けるサザンカ
冷え込みが増す程に元気な冬の木花たちである。

 

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Vol.131「endless thema - 126」(16年11月)

 

--------十一月/日々深々なり

 

p_nono1611aギンミズヒキ

 

鉢からこぼれ地植えになった前庭のミズヒキソウ。
白いギンミズヒキに混じり赤も咲き、窓先の石積み近くに列をなしている。
少し摘んで花入れに入れた。花のような顎は朝開き午後には閉じてしまうという。
長く咲いているから少しづつ群れていく。
華やかでないから集まれば花やか。

 

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とろり豆乳

 

朝、ペットボトルを片手に久しぶりに近所の豆腐屋さんに豆乳を買いに行った。
市販の豆乳と違いとろりとした、混じりっけの無い100%無添加のしぼりたてだ。
気持まだ暖かく感じる。程よく冷えてからいただく。大豆の香りが鼻に抜ける。

 

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ねじりまんぽのファサード

 

意外と知れわたっている煉瓦斜架拱。
新聞やマスコミでも紹介されているので知っている人も多い。
ねじりまんぽの名で知られる煉瓦造りのトンネルで京都にも何カ所かあるが、蹴上にある観光名所で広く知られるインクラインの下を通るトンネルがある。
4月13日の朝日新聞の「勝手に関西遺産」のコーナーにも登場したねじりまんぽである。
蹴上の交差点を地下鉄の入り口に向かって歩くとすぐ東側に視線に入ってくる、抗口のファサードをポータルと呼ぶが、それをそのまま思わせるような少し凝った造りで、小さなアーチ状の装飾のついた基壇のような腰壁の上に天井アーチの煉瓦が積まれている。
ピラスターと呼ぶ付け柱や袖壁のウイングも設けられている。
パラペット中央には題額がつき、その上下に付くはちまきのような蛇腹の笠石と帯石にも歯状紋という煉瓦を斜め使いした装飾が付けられている。

 

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天井アーチがねじれているのが分かる

 

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このくらいの角度が付いています

 

道路や線路とトンネルが直交したものとは違い、斜めに交差すると煉瓦は上を通る線路に直角方向に積むために渦を巻いたようになり吸い込まれるように見える。
天井のアーチと交差角度の具合でねじり具合も異なるが、理屈がわかれば理解し易い。
アプローチの空間やインテリア的に装飾でつくると面白そうだ。

両側の腰壁の煉瓦積みはイギリス積みと呼ばれる積み方が使われている。
天井アーチ部の煉瓦の大きさは一般のJIS規格より一回り大きい実寸220mm×110mm×55mmの長手積みで、正面の出隅は鋭角鈍角とも角度を合わせて焼かれた役物が使われている。
ここは円アーチと思われ、煉瓦の角度は道の交差角度やアーチの大きさにも依るが傾きは三寸五分勾配程ある。
もう心もちはっきりしたねじりに見るほうが吸い込まれる感じで神秘的に思える気もする。

「ねじりまんぽ」の「まんぽ/間歩」は坑道などのトンネル構造をいう言葉らしい。
京都大山崎にある円妙寺橋梁というねじりまんぽは、狭くて立っては通れない程でシンプルな造りらしい。
小さな空間のねじり具合はどんななのか見てみたい。

 

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ホトトギス

 

裏庭ではゼニゴケが広範囲に生息し、水をやりながら踏むと嫌ではない独特の匂いを放つ。
今年はエルニーニョやら変動した気候のせいなのか、ルリタテハはやってこなかった。
そのお陰ではないにしてもホトトギスがよく育った。
地植えのホトトギスは沢山の蕾を持ち群をなして咲く。
ルリタテハが羽化し舞って行くのが見られないのは少し寂しいが、ホトトギスで満ちているのも季節を想い良いものである。
こんな年もあっていい。
鉢植えのヒヨドリバナも咲いている。
七日は立冬。少しづつ朝夕の肌寒さが深まりつつある。

 

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Vol.130「endless thema - 125」(16年10月)

 

--------十月/かみな月・・・夜長

 

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あっと言う間に減ってしまったジューンベリージャム

 

空はめっきり秋いろになっている。うろこ雲が空の高さを際立てている。
十月はかみな月ともいう。
いただきもののジューンベリージャム。ジャムよりさらっとして甘さ控えめですっきり味。
爽やかなジューンベリーの香りと酸味がいい。
トーストやヨーグルトといただく。
食欲の秋とは言うものの、開けるや否や途端にこの始末である。
朝夕は気温も下がるが、少し汗ばむ昼間の日向がうれしい。

 

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道路陥没の記事の新聞の切り抜き

 

老朽化した下水道管に依る道路の陥没に関する記事が新聞(朝日新聞八月二十九日夕刊)に載っていた。
丁度、この記事の載った少し前に斜向いのお宅のアスファルトの陥没騒ぎがあったばかりで、やはり下水道本管への接続部の老朽化が原因であった。
足を運んで頂いた下水道局員方の対応による近接接続管の確認でわかった。
陥没は老朽化による破損等で水道 mizu-michi ができ、土砂の流出や破損した下水管に流入し、アスファルト下部が空洞化するのが主な原因である。
疑問視する系統をスコープで確認し、すぐに不良場所もわかり翌日修理も行なわれ、後日アスファルトのやりかえが施された。
下水道局の手際のよい対応で事故など大事には至らないで済んだ。

老朽化した下水道の記事に戻るが、国交省によると下水道管の老朽化や腐食が原因の道路陥没は04〜14年度、年平均で4655件発生し、14年度は3313件だとか。物損事故は年10件程あるという。
全国の下水道は1970年代から整備が加速化し、総延長は約46万キロ。
下水道管はコンクリート二次製品であるが目安となるコンクリートの耐用年数である50年を超える下水道管は約一万キロと全体の約2%になり、20年後には約11万キロと10倍以上に増えることになるらしい。
当然、事故は加速度的に増加する。

陥没の背景には下水道管の点検が徹底されないことにあり、自治体の担当職員の減少があげられ埋設ということからもどうしても点検は後回しとなるということのようである。
昨年の11月には下水道法の一部改正が施行され、一定の基準を下回ると5年に一度の点検義務を課せられることになった。
点検職員の不足を外部発注で行なう自治体もある。
また点検用ロボットなどをメーカーと共同開発した場合には国の補助の対象となる。
一歩間違えば大惨事になりかねない。
後回しにせず、まずは点検を徹底する体制が必要なのではないだろうか。

仕事がら何かの資料に成るかどうかは別にしても、この類いの記事の切り抜きもよくするほうである。
増えていく一方の切り抜きは、どうまとめておくのがいいのか頭の痛いところでもある。

 

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ほんのり琥珀

 

晩秋の空はより高く見え空気は澄み、月はくっきりとし、星は煌々と見える。
よって酒も旨い。
自然農法に依る自然米を使ったほんのりと琥珀色をした甘口純米原酒は、米の風味が鼻に抜けまったりとコクのある口あたり。
ロックが美味しい。甘口だからアテなしの月見酒がいい。
十月八日は寒露。初侯は鴻雁来(こうがんきたる)。
初めに訪れる雁を「はつかり/初雁」と呼ぶ。
十月初めまでの長雨も終り朝露が降るころには、遥でかりがねが聞こえていることだろう。
少しづつ夜は長くなり、庭では虫も囁き、耳を澄ませば深まる秋の風の足音が聞こえている。

 

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Vol.129「endless thema - 124」(16年09月)

 

--------九月 白露/日々のくらし・・・ 粋々

 

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アローニャの実

 

カマツカの実が熟している。
なかでもセイヨウカマツカのアローニャと呼ばれているアロニア・メラノカルパで、大きくなると3メートルほどに成長する。
果実はジャムや果実酒などにも使われポリフェノールアントシアニンなどが豊富に含まれている。
アローニャでも赤い実は食用にならず主に観賞用である。
我家の裏庭に置いた鉢植えは小さいながらも少しだけ果実となった。
鳥に食べられる前にどんな味かかじってみることに。
なるほど微かな甘みがあるがかなり渋い。
決して美味しいとは言えなかったが、樹木が成長し大きくなってくれば美味しさも増してくるかもしれない。

 

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朝日新聞の切り抜き

 

中国大陸から偏西風に乗ってくる飛来物質のことをマンスリーホットライン2014年2月号に少し書いたが、朝日新聞の7月21日の科学欄の「ミチをひらく」に金沢大理工研究域准教授の牧輝弥さんの研究のことが掲載されていたので今回書き留めておくことにした。
牧さんは、大気中を漂う細菌やウイルスなどの生物粒子「バイオエアロゾル」が健康に与える被害に興味を持ち、大気中の微生物研究を9年前から始めたそうだ。

中国大陸から飛来した黄砂にくっついて微生物もやって来る。
黄砂は微生物の「空飛ぶ箱船」だそうだ。

***

「病気を起こす病原菌かどうかはわからないですが、このような菌が未知の病気と関連していないか解明したいです。また、ヤケイロタケというキノコの一種も見つかりました。マウスにヤケイロタケと黄砂を同時に与えた場合、黄砂のみの場合に比べてアレルギー症状が10倍以上も悪化しました。」

「一方で、空を飛んでいる微生物は、無害なものが圧倒的に多いことも我々の研究で明らかになってきました。能登半島上空で採取した黄砂から大豆を発酵させる納豆菌が見つかりました。試しに研究室の圧力釜で大豆を蒸し、この菌をかけて発酵させると、納豆が出来ました。地元の納豆会社にお願いして商品化を実現し、12年から『そらなっとう』として地元で販売しています。」

微生物が人体に与える影響や近隣国など各地で広範囲にいろいろな方法で黄砂を集め観測することで微生物の詳しい飛来ルートなど、越境の実態を解明することが目的であると。

「DNAを解読する装置が飛躍的に進歩し、希少種も多く見つかっています。データが蓄積されれば、微生物の種類から、どこから飛来したかわかるようになります。微生物の組み合わせによって大気の複雑な流れがわかり、天気予報の精度向上にできるかもしれません。微生物の研究は従来、土壌や海洋が対象でしたが、『空の生態系』を明らかにしたいと思っています。」

***

・・・以上朝日新聞「ミチをひらく」より抜粋。
さらなる研究成果には幅広い分野でのますますの展開の可能性があるに違いないだろう。
それと「そらなっとう」は食べてみたい気がしてならない。

 

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巨峰

 

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九角オクラ

 

先月の二十一日には町内の地蔵盆が行なわれた。
来年はうちの組の当番と言うことで荷物の受け渡しがあった。
丁度、夏風邪のようなアレルギーのような、私も大気浮遊物によるアレルギーかどうかは別にして、咳と鼻水がつづきしんどいころ、愛知県の半田に住む友人から季節のうれしい便りが届いた。
今年の露地物の巨峰は太陽のめぐみもふんだんに受けたようで甘みとジュウシイさは喉を潤すのに最適だ。 温暖な気候の大府の巨峰を皮ごと頬張る。
新町通のこだわりの八百屋さんで、妻がスターオブデビットというイスラエルの伝統野菜をみつけた。
普通のオクラは星形の角が五つだがこれは九角のオクラだ。
普段見かけるオクラの数倍はある。ふっくらと大きく少し硬め。
オイルで炒めガーリック風味の塩とコショウで味付け。
夜空にきらめく星座は美しく輝きを増し高くみえ始めると、夏もそろそろ終りに近づく。
今月二十二日の秋分には昼と夜の長さが同じになる。
もうしばらくは残暑がつづくが、直にふとしたことで秋の気配を感じるようになる。
日陰はここちよい風を運んできてくれることだろう。

 

*****