人と自然と建築と

nonobe's diary

Vol.10「works - 01」(06年10月)

-------コンクリート打ち放し

 

今回は、いまから丁度3年前の2003年9月号の校友会小冊子「れんじ」に掲載した
「表紙とその解説」を一部修正してご紹介いたします。

 

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無垢の木は表情やあつかいかたによりおなじものは二つとなく
そのテクスチャーには魅力がある。
しかし、コンクリートもその打ち上がりには表情があり、
無表情さは感じられないし、無機質的な感も受けたことが無い。
特に自分の設計した建物にそう思うのは、たぶん私だけであろうか。
表紙の建物は、JR名古屋駅から名古屋城の方向に7~8分、
ビルの谷間を抜け目指すは鉄塔の立ち上がるレスキュー隊のある
消防署の道路を挟んだ南側にある。幹線道路とはいっても11mあり、
15.5mと20mある道路の三叉路の交差点から二軒目である。
昔は路面電車も走り那古野町の電停といえばすぐに判る場所であった。
住宅地ではあるのだが駅が近いということもあり高層ビルもちらほら目に写る。
将来はビルの谷間になるのだろうかそんな雰囲気もある場所で、
本来なら中庭にし居室はそれを取り囲むように計画すべきだろうが、
ここはそれとは少し違う感じを受ける。
さほど広くはないが外部に対して開放的なオープンテラスを持ち、
そこから見えるオフイスビル群の夜景を手に入れるのも
都市に住む魅力の一つであると考えるのである。
マンハッタンのペントハウスではないが三階の住居の居間のテラスからは、
40数階建の国際センタービルや名駅ツインタワーも見え特に夜景は美しい。
住居の4階には、基準法上は物入であるが
ペントハウスならぬロフト風のスペースも設けてある。

 

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N-dental clinic & 2 family's home / TEAM87
3-meieki. nishi. nagoya.

 


構造的には、一階が車庫ということもあり二階の医院の床下配管等の
メンテナンススペースとしての逆梁工法を採用し、
全体はコンクリート造の柱と梁からなるラーメン構造という構造であるが、
外壁と主要な床および直通階段以外の内部間仕切りはすべて木造にしてあるのは、
将来を考慮しコンクリートで壁をつくらない計画を心がけてある。
ただ、敷地の間口が狭いためにスパン方向が単スパンとなり
(桁行の柱間が1つの構造)骨太な感じがするために、
外観はラーメン構造を思わせないようなデザインを
随所に設け骨太の面影を軽減させてある。
この建物はコンクリート化粧打放しではあるがVol.2に掲載した
千葉のS氏の診療所のように横使いパネルに縦横同ピッチの化粧木コン割りではなく、
3’×6’縦使いパネルに6本/枚の化粧木コンを基本に割り付け、
柱廻りの重なるセパレーターはずらしながら必要なものは必要な位置に設け、
特に窓廻りなどのパネル使いに気をつけてあるので、自然さは失っていないと思う。
最上のロフト廻りの打放しは打ち上がったときに木目の出る杉の本実型枠を使用し、
スチールの鋼材を打ち込んだ小庇を設けてある。
また開口部およびその周辺部のディテールにも気を配り建物のイメージとなる
木を使ったハンガー門扉とその上部の窓にはアルミの面つけサッシの廻りに
アルミのフラットバーとスチールの型鋼を取り付けるなど
コンクリートとの取り合いには十分な検討をしてある。
もちろん、その他にも庇の先端部など随所にスチール材を打ち込んだ
ディテールを採用し、空中に浮いたイメージのガラス箱や
階段室のガラス箱からは光りが充ち溢れ、
また、ベランダの自立ガラスの手すりの握り部分や、
診療所に上がる階段の手すりには外部ではあるがあえて木を使用してある。
これら細部のディテールは適度の緊張感を持ち、
行き交う人にさわやかな印象を与えていると思う。

 

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N-dental clinic & 2 family's home / TEAM87
3-meieki. nishi. nagoya.

 


竣工時に交差点から眺めていたとき、信号待ちの二人づれの女性が、
「きれいな建物だね。」と話をしているのが聞こえてきた。
うれしい気持ちが今も脳裏に浮かぶ。

余談ではあるが、この建物は、内部のスパン方向のコンクリート壁が少ないため
余力を持たせながらの保有水平耐力の検討をしている。
一般的にはコンクリート量に比して鉄筋量は減るものなのだが、
それでも鉄筋量は多く感じる。いつも思うことだが、
うまくコンクリートの骨材が鉄筋の間をすり抜けていくだろうかとよく思う。

コンクリートに対する鉄筋量の増加は理論上は安心なのだが
現場を見るたび感じるのはコンクリートの骨材が
うまく流れていくかということである。
鉄筋が多すぎてかアンカーやパネルゾーンなど
交差する部位は鉄筋だらけである。
コンクリート自体の練の度合とはうらはらに、コンクリートに混入された骨材は
これらの鉄筋の合間をぬって一層下部にまで達するのである。
自分が骨材になり鉄筋の合間をぬって下までいけるかどうかの
コンピューターゲームでもあれば面白いだろうとおもう。
きっと鉄筋や番線やらスペーサーやらセパレーターや電気や設備の配管などに、
途中で何回も食い止められ、時々バイブレータがかかり抜け出すことができ、
そのうち体から水分が分離していき脱水状態一歩手前でふらふらになり、
そして、もがきあがいているうちにゲームオーバーとなる。
ああ、もうあと少しというところで・・・・・。
コンクリート打とはまさにこんなゲームそのもので、
さしずめ、たどり着いたコンクリートは最高得点ということになる。
それだからこそ打上がったコンクリートは美しいのだろうか。

 

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N-dental clinic & 2 family's home / TEAM87
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