人と自然と建築と

nonobe's diaryーArchitect Message

Vol.16「endless thema - 11」(07年4月)

 

-------白丁華/ハクチョウゲ

 

以前に手がけた住宅の庭が綺麗になった。

雑草の住処?と言ったら怒られそうだが、それはどこのお宅でもそうなのだが、雑草の始末は大仕事である。
こっちをきれいにしているとあっちにはびこり、あっちをきれいにしているとそっちにはびこる。~ってな具合である。

剪定は植木屋さんにお願いしてある。
しかし樹木の手入れは出来ても地面まではなかなか出来ない。
そのあたりは住み手の仕事となる。
それで、雑草の話やら小鳥の話やら近所の猫たちがひなたぼっこにきたりいたずらしにきたりの話やら、そんな雑談から庭の改修の話が持ち上がった。

 

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●庭全景
 design/亀音:田中潤

 

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●離れの前の植え込み

 

改築当時そのままにしてあった庭を住み手自身も普段の庭いじりがし易いようにそして楽しげな庭に改修し・・・とはいっても私がデザインしたのではなく友人の庭園デザイナーである田中さんにお願いをした。
さすがに扱う花木の種類は多く、見るから楽しそうな庭となった。
数ヶ月先には樹木の枝振りもよくなり、より自然となじんでくる事だろう。

庭がすっきりしたおかげで、奥の小さな離れからも庭が見通せるようになった。
庭に面した大きなガラスルーバー窓は、上のほうを摺りガラスにし拡散した穏やかな光が室内をやわらげ、下は透明のガラスにしてあり丁度庭の足元が写り込んでくる。
開かずの窓となっていた主屋の客間の掃出しの窓からも今は気持ちよく庭と関わり、親しいお客さんなら玄関よりもむしろこちらの庭からアプローチしてもらうほうが楽しそうである。

 

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●底木に閉ざされ開かずの窓だったが、
今は庭とのかかわりができた。

 

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●離れの窓

 

私が言うことではないのだが、綺麗な庭になったおかげで使用頻度もあがり、改築当時の建物の使い勝手も復活しようとしているのは嬉しいかぎりである。

このお宅の改修前の庭に鎮座していた一つが、白丁華である。庭のあちこちに出現していたこの白丁華を私の家に一枝いただいた。

 

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●ハクチョウゲとキスゲ
 奥にみえるのは、近所のおばあちゃんが植えていったツワブキ
 足元にはアッという間に芽が伸びた元気のいいキスゲ

 

私の家の生垣はアカメモチとサザンカで、アカメモチはうちの小さな庭には少し葉が大きくちょっと味気ない。
白丁華の小さな葉がアクセントとなってくれればいいのだが、いざどこに植えようか、と思って眺めていても道側にはアカメモチが密集していていい場所もない。
結局隣家との境のあたりに、女房があちこちに植散らかしてあったホトトギスと入れ替えに植えた。
写真の奥に見えるのが、近所のおばあちゃんが植えていったツワブキで、写真では分かりずらいがその手前に見えるのが白丁華である。その足元から芽を出して一緒にくっついてきた草木がある。
名前をキスゲと呼ぶ。キスゲは初夏に小さな黄色いユリのような花が咲くのだそうだ。
うまく行けば今年咲くかも知れない。
いろいろと楽しみである。
時期が来ると芽を出し開花するさまは、季節を感じられる私の嬉しい出来事の一つである。

 

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