人と自然と建築と

nonobe's diaryーArchitect Message

Vol.36「endless thema - 31」(08年12月)

 

-------ランプ

 

我家の休日の朝は、庭の窓近くにテーブルを移動することから始まる。
近接する隣家に囲まれた東の庭に面した窓は2階まで抜けている。
全面を窓にしてあるのだが、天気が悪いと室内が少し暗いこともあり
何かよい明かりはないかと探していたのだが、
結局、現在食卓用に使っているアルミシェードのPH5と同じ
ポール・ヘニングセンがデザインした
Louis Poulsen社のPH2/1を吊ることにした。

コペンハーゲンに生まれたポール・ヘニングセン(1894~1967)は
建築家としてスタートしたのだが、次第に照明に興味を持つようになり、
Louis Poulsen社とのコラボレーションでその意気を発していくようになる。
ヘニングセンが1920~30ごろに試作した数々のランプ。
PHランプは光の美しさから現在も復刻されつづけている。

 

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PH2/1

 

使い始めウレタンフォームであるから冬は気にならないものの、
夏は暑いんじゃないかなどと勘ぐっていたのだが、夏でも冬でも程よく快適である。
私は頭を置く部分が窪んだタイプのものを使っているのだが、
横を向いたときに高い部分に頭がくるので、首が下がらず具合がいい。
以前は首の筋が違ったようになりしんどいときがよくあった。
まあ、ほとんどそんな状態にならなくなったことはありがたい。
寝方が悪いと言うだけではなく、歳と共に体は固くなり
急な動きに対応できず筋が違ったりもする。
それに運動やストレッチ不足もひびいている。

 

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食卓用に使っているアルミシェードのPH5

 

ミース・ファン・デル・ローエはブルーノの
テューゲンハット邸(1930/世界遺産)に三枚シェードのPHランプを使用している。
当時はより美しい光をつくり出すためにガラスシェード三枚の仕上げを
それぞれ微妙に変えたテクスチャーを用い製作されていたらしい。
手元にあるLouis Poulsen社のカタログには、
PHランプの古典的ランプの再現として、トップシェードはオパールガラス製、
トップシェードの外側は光沢のあるホワイト、内側はマットホワイト、
他のシェードはオパールの吹きガラス製、内部は砂吹きガラス製、
酸化つや消しガラスの下面カバー付き、と記載されている。

 

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オリジナルのブラケット。
このくらいのものなら、費用もそんなにかからない。

 

Louis Poulsen社のパッケージの写真です。
箱も美しくデザインされている。

TEAM87にもオリジナルの器具がある。
ブルツイン蛍光灯のブラケット部分を金属で包んだ器具で、
プロダクツという大げさなものではなくコスト的にも
大してかからないのでその都度必要に応じ製作している。

光源である電球は白熱灯から蛍光灯
そしてLEDなどに移行し初めている。
何年前だったろう某電気メーカーも白熱灯の分野を撤退した。
理由はエコロジーの問題か。
消費電力と発熱などからくるCO2への考慮
そして切れにくい電球へと。
でも地球にやさしいものづくりは、人にとっても
やさしいのだろうか。その評価のバランスはむつかしい。

人類は電球が発明されて以来ガラス球の内にあるフィラメントの
発熱するさまを見て来た。そして生活用品はエネルギーを
浪費しにくく、便利でより効率の高い商品へと展開している。
真空管からIC、そしてデジタルへと。
はたして、人にやさしいのは。

 

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