人と自然と建築と

nonobe's diaryーArchitect Message

Vol.43「endless thema - 38」(09年07月)

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フウランが目覚め出した。
小さな芽が何本も少しずつ成長している。
日本では富貴蘭とも呼ばれる。
玄関口に一鉢、東庭に二鉢。
どちらもすこしづつ大きくなって来ている。
樹木や粗な岩肌などに寄生し、
空気中の水分を太い根から吸収すると言われている。
初夏から貴賓のあるやさしい香りとともに咲き始め
暑い最中たのしませてくれる。

 

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机の中の整理をしていて、
引き出しの奥から使わなくなった製図道具がでてきた。
インキングのための道具も入ったセットが2つ。
ひとつは大学の入学祝いに叔父にいただいたものだ。
中にはコンパスや先端にインクをつけて描く烏口や、
コンパスによく似た両先が針になったデバイダーなども入っている。
烏口は、時とともに登場したロットリングとよばれるインクペンに取って代わる。
写真はそのロットリングをとりつけて小円を描くコンパス。
それに小さなコンパスと小さなデバイダー。それに計算尺まで出て来た。

 

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図面は昔トレーシングペーパーの裏面に
ロットリングで通り芯と呼ぶ基準線を書きそれをもとに描いた。
鉛筆も、木の鉛筆から交換できる芯を入れて芯だけ削って使うホルダーとなり、
芯を削る必要のないシャープペンシルに進化してきた。
いまではそれぞれがそれぞれの目的にあった使い方ができる。

 

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鉛筆のたぐいは持ったときのバランスが重要で、
Faber Castellのホルダーは今でも使う。
芯だけを削るダーレーと言う道具をつかって芯を削る。
鉛筆もそうだがFaber Castellはバランスが良いような感じがすることもあり、
いまだ木の鉛筆と共に愛用している。
他にも4mmの芯でクロッキーにつかうホルダーも愛用している。
長さと重さが私の手に絶妙である。
主に鉛筆のたぐいはスケッチやフリーハンドを多用する
ディスクワークの時に使うことが多い。

道具の進歩は技術の進歩でもある。
パソコンの普及は製図方法まで変えてしまった。
今や設計はCADという製図を目的としたアプリケーションを使ってパソコンで描く。
近頃では3Gも可能となり、パソコン内の計画中の建物内を歩くように
スルーすることも可能となってきた。
バーチャル体験も、手で触れるのと同じ質感まで
実感できるようになる日も近いかもしれない。

アナログ的な作業も併用する設計という行為自体は無くなることはないだろう。
進歩は賞賛されるべきことであるが、ペンで紙の上にイメージを重ねる
普遍的な行為は脳の癒しになるような気もする。

 

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