人と自然と建築と

nonobe's diaryーArchitect Message

Vol.65「endless thema - 60」(11年05月)

 

--------桜吹雪/移りゆく季節

 

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バイモ

 

まだ肌寒さを感じる頃から穏やかに暖かさへと季節の変わりを知らせてくれる。
貝母と書いてバイモと読む。中国原産の薬用植物だ。
群咲は華やかさもあるが、数本で咲く清楚で可憐なさまは
茶花としても好まれているようだ。
茎形が長くなると、倒れないように葉先をカールさせ、
お互いに支え合っているかのように、廻りのものにしがみつく。
「寒さも、もう終りですよ。」っていいながら、四月始めには姿を消す。

 

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ケマンソウホウチャクソウ

 

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ホウチャクソウ

 

それと重なるようにして、
タイツリソウホウチャクソウが春の目覚めを知らせてくれる。
タイツリソウケマンソウとも呼ばれ、
仏具の装飾の華鬘(けまん)から来ている。
ホウチャクソウは仏堂の軒に吊るされた宝鐸
(ほうちゃく。ほうたく。風鐸/ふうたくとも言う。)
という風鈴に形が似ていることからきている。
花が終わる頃とともに晩春を告げる。

 

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甘夏

 

喉の乾きを覚える頃、甘夏みかんが旬となる。
中皮ごと頬ばる。
甘酸っぱいジュウシイな柑橘類の爽やかさは、うっすらと汗ばむころが最高。
晩春から初夏へ、気持だけでなく体も自然と移りゆく。

去る四月十日に統一地方選である京都府議選と市議選が行われた。
いつも投票場内はまばらなほうだが今回も前にお一人、次に私と女房、
そして投票をすませての出口でひとり入場という程であった。
翌日の新聞で京都は44.48%だったことを知った。
東日本大震災から一ヶ月、選挙どころではといった気持が
足を遠ざける結果となったのだろうか。

 

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イベント

 

府立植物園の西側、賀茂川の土手沿いの半木(なからぎ)の道で、
毎年桜の咲く頃の週末には茶店や出店が並ぶ。
当日は快晴で、投票の帰りに散歩がてら廻ってみた。
そのせいか、投票場とはうらはらに、人人人人でごったがえしていた。
人波のなか、のんびりと観賞もできないこともあり、
女房曰く「わざわざ催しのある日に来なくても‥‥。」
まったくその通りである。

 

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シダレザクラ

 

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シダレザクラ

 

半木の道には、紅枝垂れ桜という枝垂れ桜が列をなし、
少し遅咲きで楽しませてくれる。
保存会の方々の管理もあり、毎年咲き誇っている。
ことしは桜の開花時期が少し遅れていたこともあり、
まだ七八分ぐらいの感じであったろうか。
あと四五日も待てば、満開となったことだろう。

このあたりの加茂街道は車でよく走る。
街道沿いの桜が桜吹雪となり、
白く淡い桜色の花びらが散って舞っているのが美しい。
それに合わせ、枝垂れ桜のしなやかに垂れ下がる枝に少し濃いめの桜色を
対岸からみるコントラストはなかなかの美景である。

時期をずらし花びらの舞うのを楽しむ。
烏丸の大谷大学の桜、そして南に下がり今出川同志社冷泉家辺りの
御所周辺は早咲きの桜が多く、入学シーズンあたりには舞い始める。

舞う風景を見て、こんなにも桜が多いのかと気づかされる。
その一方で、ちょっと前までは町内にも数多くあったアイストップ的な桜。
時とともに風景は変わる。諸事情だろう。
ちょっぴりとだが、もの悲しさも覚える季節である。

 

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