人と自然と建築と

nonobe's diaryーArchitect Message

Vol.80「endless thema - 75」(12年08月)

 

--------夏日/日々の暮らし serial thema

 

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夏の雲

 

夏空。白い雲と青い空。河原も夏景色になった。
今日は風が少しひんやりと感じる。そのせいか雲もやさしい気がする。
普段の河原は意外と静かだ。水の匂いと土の匂い、そして日向の匂い。
暑さも増してきた。いろいろな形の輪郭をはっきりさせるほどに
この時期の日差しはきびしいが、ふとした夏の蔭に少し心安らぐ思いがする。

 

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ガラリ

 

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おかのり

 

白地にらでいっしゅの絵柄の描かれた専用のトラックで
毎週届くらでいっしゅぼーやの宅配システム。
幾種類もの品と一緒に、花螺李(ガラリ)と言う沖縄在来種のスモモが届いた。
小ぶりで酸味が強いが黒く熟し柔らかくなると甘味が増す。
暑い時期、冷たく冷やしたスモモのさっぱりした酸味は気持ちも潤う。
珍しい野菜で、おかのりというアオイ科の野菜も入っていた。
茹でるとねばっとした感じで、ちょうどモロヘイヤをあっさりした感じである。
カルシウムやビタミン類が豊富に含まれているそうだ。
細かく刻んで焼き海苔とわさびをまぶしていただいた。

 

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コンサートホール

 

先立て、一音寺室内合奏団の定期演奏会があり、
京都コンサートホールに聴きに行ってきた。
開演は夕の刻七時。夏ころの夕暮れはまだざわめきの残るうすら明るいころ。
気持ちも長くなり何事も薄ぼんやりとお互いに出会う
入相(いりあひ)のころに始まる。
舞台正面の平席で聴く事はほとんどなく、
いつもながら写真の位置あたりの席で聴くことが多い。
席はオールフリーで、廻りが気になる事なく楽しめる。
少し早めに入場すればもう一段下階の席を確保できるのだが、
なかなか上手いタイミングで着けない。

何故このセクションで聴くのか?と聞かれると、返答が難しい。
しかしながら気分的には最高である。
ただ舞台に向かって右前方のビオラ奏者の
指先の動きと表情がつかめないのが唯一残念である。
ビオラ奏者の一人である知人の江村さんは、
いつも一番客席に近い位置で演奏される。
この位置では江村さんの指使いがじっくり拝見できないのが少し残念であり、
次回こそは二十分程早めに家を出て反対側下段で聴いてみようと考えている。

音は耳で聴くだけではなく眼でも聴く。
視界から入ってくる多大な情報量は、耳から入ってくる音を誘発し、
心的な変化も加味され、フィードバックを繰り返しながら繋ぎ合い増幅する。
スタティックな優しい指先のタッチは穏やかでひなの胸毛が揺れるよう。
小気味のいいタッチは鮮やかでしなやか。
ダイナミックな動きは、力強くいきいきと伝わってくる。
静的なものの内にある動的な輝きには心揺れる。体の動きや顔の表情も同じ。
それぞれがそれぞれを刺激し合い、より完成度の高いものに展開していく。

この日は、演奏合間の休憩時間に
いつもいただくシャンパンが無く白ワインで咽を潤した。
決してシャンパンが目当てでは無いのだが少し心もとないのである。
まあ、それはそれとして毎回気分よく帰宅できるのはうれしい。
心残りのシャンパンはまたの機会のお楽しみとしておこう。

 

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クモさん

 

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フウラン

 

ある朝、クモさんが干し物の上をお散歩中。
何かを探しにやってきたのか、二本の腕を動かしている。
この子は家の中のあちこちでよく見かける。
この子の同族のクモさんや違う種のクモさんたちも、
時折私の視界の中に知らず知らずに入ってくる。
玄関先ではフウランがよく咲いた。
今年は季節外れの台風や涼雨の影響か、咲く時期もまばら。
黄緑色だった花芽は七月中から末にかけて真っ白となる。
八月号では少し遅いかもしれないが、
ゆるみのない日差しに純白のフウランは咲き誇っているかのよう。
ついこないだまで穏やかな気配をひそかに探っていたのに、
香りとともに夏日となった。

 

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