人と自然と建築と

nonobe's diaryーArchitect Message

Vol.92「endless thema - 87」(13年08月)

 

--------八月/寒蝉鳴

 

夕刻の少し気温の下がった入相の頃にカナカナと心惹かれる清涼でヒグラシは鳴く。
八月八日ころから十八日ごろを立秋
立秋の間中ころを寒蝉鳴と書き、「ひぐらしなく」と読む。
暦の上では秋だが昼間は一年で一番暑い時期。
夕刻には少しでも和らいだ気配が漂う季節となってほしい。
らでいっしゅぼーやからサクランボのたより。
山形の生産者の方のメッセージが添えられている。
今年は春先の低温と乾燥で満足もほどない状態であったらしいが、自然相手の露地ものをしっかり育て出荷に至ったとか。
さくらんぼは桜桃(おうとう)というミザクラの木の果実のことで、七月中が熟れ時だろうか。

 

 

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サクランボ

 

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生産者さんのメッセージ

 

近頃天候不順が続いている日本列島では局地的な集中豪雨が多発している。
なかでも都心部にみられる集中豪雨は、ヒートアイランド現象などによって気温が上昇し大気が不安定となり集中的なゲリラ豪雨が生じやすいのだとか。
緑地減少などの都市化によるヒートアイランド現象が顕著となるに従い、輻射熱等に依る気温の上昇が促進され、大気中の湿度も低下していく。
緑や土の部分が減り、アスファルトやコンクリートなどが増えるのも要因である。
住区においては町家の坪庭は減り、その分敷地いっぱいの住居やマンションなどの共同住宅が姿を現していく。
高層になれば単位面積あたりの住戸密度は上がる。
マンションの需要が増えるに伴いエアコンの室外機の排熱などによる温度上昇は著しい。
壁面や屋上緑化の促進など蓄熱体を減らすことを考えていかない限り温暖化現象に一役買うことになる。
とはいっても、室内において近年発生頻度の多い熱中症の防止にはエアコンは必要不可欠となる。

温湿度などの関係を知る湿り空気線図にというグラフがある。
専門的な使用方法はさておき、飽和蒸気量曲線を利用してその空気の状態が分かる図といった感じだろうか。
これを見ると、例えば気温が18℃のとき湿度55%あるときの体感は湿度が35%に下がったときの温度が25℃にまで上昇したときとほぼ同じくらいに感じるということがわかる。
湿度を適度にコントロールすることで過ごしやすくなると言った具合だろうか。
部屋の温度は下げるだけでなく湿度を適時調整することでエネルギーロスを抑えより快適になる。
近頃のエアコンはうるうるやさらさらといったように、室内外を感知し除湿と温度の関係が上手くコントロールされている。

 

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グラスの結露

 

冷蔵庫で冷やしたグラスを室内に出すと、表面に細かい水滴が着く。
グラス表面の空気が露点温度に達したときにできる。
これが結露で、フィンと呼ばれる金属板を集積したパネルでこの状態をつくり出し、水滴をコントロールするのがエアコンということになる。
エアコンにはコージェネレーションタイプの廃熱利用や運転中の休止状態に圧縮ポンプが作動しエネルギーロスを妨ぐなどの機種もありはするが、残念ながら普及には至らないのが現状のようだ。

 

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ブンブン君

 

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ホウチャクソウの果実

 

暑い最中ぶらりとコガネムシのブンブン君がやってきた。
丸い顔に丸い胴体。どこから入ってきたのか、網戸の内側にしがみついて休んでいる。 しばらくの間網戸を行ったり来たり。
網戸を開けて押してやったが、今度は外の簾でお休憩。
風に誘われ知らぬ間に遊びにいってしまった。
ホウチャクソウの実が黒ずんできた。
いくつか花器に飾ってみた。熟した黒い実は季節を映し出す。
万灯会が営まれ五山の送り火を終える頃には、少しづつ朝夕の涼しさが際立ちはじめる。
気象庁による長期予報によると、今年は平年を遥かに上回る暑さがつづくのだとか。
暑さばかりに気を取られるが、思いのほか秋は静かに近づいている。

 

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