人と自然と建築と

nonobe's diaryーArchitect Message

Vol.94「endless thema - 89」(13年10月)

 

--------十月 菊花開/水出しコーヒー

 

先月台風18号が日本列島を縦断していった。
降り続く激しい雨と突風にも近い強風に依る被害を日本各地にもたらした。
NHKの報道によると京都嵐山の桂川の流量は3,000立方メートル/secあまりだったそうだ。
上流のダムを管理する水資源機構の計算では、保津橋あたりの3,100立方メートル/secと言う数字は、近年六十年ほどのあいだで最多の流量だったとか。
桂川の水が安全に流れる限界の二倍の量で、驚くことに東京ドームが七分ほどで満杯となる数字だったらしい。
被災地では多くのボランティアの人たちが支えている。
むかしの日本人は利他的で相身互いに物事を支えあって来た。
日本人が持ち続けているソーシャル・キャピタルはボランティアとして今に受け継がれているのだろう。

 

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白く色づくギンミズヒキ

 

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まだ一重が色づいたところの、八重のシュウメイギク

 

庭のミズヒキ(水引草)は強風にもめげず、散らずに咲き続けている。
白い花をギンミズヒキという。細く長い花茎には、ちいちゃな花が間を置きながら咲き、花穂のようだ。
花びらのように見えるが、花冠はなく顎片である。
夏の終わりをつげ秋を知らせる。
清楚なシュウメイギクも咲いている。秋明菊と書くが菊ではない。
ミズヒキと同じく花のように見えるのは顎片である。
最初は花びらと顎のように見える八重のシュウメイギクは、次第に緑色の部分が花のように色づく。
花だけで顎が無い花のように見えるが、すべて顎片である。
顎片がとれたあとの花芯が熟して割れ、ふわふわとした真っ白な綿毛ができる。
綿毛のなかには埋もれたように種子があり、その種子の入った綿毛は、秋も終わりから初冬の風に乗って飛んでゆく。

まだまだ暑い日がつづくこのごろ、水出しの緑茶につづいて水出しのコーヒーもよく作る。水出しコーヒーには、ダッチコーヒーが一般的だが、ウォータードリップと言う方法がある。
ウォータードリップは容器に水を入れ挽いた豆を入れ少しかき混ぜて七~八時間寝かせるだけだが、コーヒーの油分が出るためペーパーフィルターで一度濾してから頂くとより美味い。
しかし少し手間なので、お茶用のパックを使い一昼夜寝かすという方法が手軽で、私には打って付けである。

 

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こんな感じでパックをいれてます

 

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少し濃いめになる

 

水出しのコーヒーは、少し深入りのコーヒー豆をドリップでいれるときより細挽きにし、お茶のパックに入れて、一昼夜ほど冷蔵庫で寝かして置く。
寝かしておく時間は試行錯誤を繰り返し、豆の量と挽き加減と水の量を自分なりに把握する意外に方法はないようだ。
まあ、嗜好品なので豆の種類や煎り加減は適時ということになる。
コーヒー店に依っても煎り加減は違い、自分なりの味を探す意外に選択筋はないようにも思う。
コーヒーミルは電動を使っている。
電動式はどうしても豆の挽きムラができてしまうのだが、細か目に挽くのでちょっとづつスイッチを入れながら楽しんで使っている。
いつもは写真のような感じで、挽いたコーヒーをお茶のパックに入れ、硝子器の蓋にラップをして冷蔵庫に入れて、適当に時間を見計らって飲んでいる。
ラップを開けたときに、ほのかに香る。
たまにミルクで割ってアイスカフェラッテにもしているが、まろやかな苦みとコクのある味わいが気に入っている。

 

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ルリタテハの幼虫

 

たわいのない話となってしまったが、日本の季節では十月十三日~十七日頃を寒露の間中で菊花開と呼ぶ。
日中は、気象庁の長期予想どおり汗ばむ日々がつづいているが、朝晩の肌寒さが季節を想うようになった。
裏庭には、今年もルリタテハがやってきた。
舞っているルリタテハを見かけたのは、まだ暑い最中だったろうか。
産みつけていった卵が孵り、先月の台風にもめげずいくらかが育っていたらしい。
結構大きくなった幼虫がホトトギスの葉っぱを喰い散らかしている。
ホトトギスの花の咲くのが少なくはなるが、蛹から成虫へとなり舞い立っていくのが今から楽しみでもある。

 

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