人と自然と建築と

nonobe's diaryーArchitect Message

Vol.109「endless thema - 104」(15年01月)

 

--------初月/エッセンス

 

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生垣のサザンカ

 

生垣のサザンカは暮れから咲きつづけている。
道端に散らかったサザンカの花びらは、かたずけた矢先からまたすぐに散らかる。
近所のかたが掃除ついでに、うちの道端もよくはき掃除をしてくれる。
おかげで綺麗になりありがたい。
申し訳ないと思いつつも甘んじているこの頃である。

先月号に京都宇治にある平等院鳳凰堂のことを少し書いた。
平等院には国宝の鳳凰堂の近くに宝物館ミュージアム鳳翔館という建物が併設している。
鳳翔館は栗生明の設計で2001年の開館である。
生い茂る樹々で緑の多い境内であろうが、異種の用途で異なるざわめきもあることだろう。
大半が地下にある建築で地階からのアプローチになり、出口がグランドラインとなる。
まだ鳳翔館に訪れていないが古建築と洗練されたモダンな鳳翔館との狭間にはどんな空気が流れているのか。
そして鳳翔館に導かれたエントランスに立ったとき、そこから見える風景からは何が見えのだろうか。

 

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京都国立博物館の02年頃の入館口の風景

 

新館の建替えをしていた京都国立博物館も昨年開館した。
12年程前から七条通りの南門にある入館口とカフェそしてミュージアムショップと順次整備が行なわれていた。
設計は谷口吉生
丸亀の猪熊源一郎美術館豊田市美術館東京国立博物館法隆寺宝物館、ニューヨークのMOMA、東京倶楽部などを始めとし数々の美しい建築を創り出している。
極められたディテールからは見るものの意識も高まる。
平成知新館と名づけられた新館はオープンなエントランスから見渡せる石とガラスのスタティックな箱が、ニュートラルな水面や芝生と戯れる建築に見える。
建替え前と同じゾーンに設けられたこの新館の右手には本館が見え、今は使われていない大和大路通りの正門の正面に噴水のある前庭を配置した本館への空間とクロスするように設けられた新館のアプローチがある。
吹き抜ける風は何を伝えようとしているのか。
写真はミュージアムショップの出来る前だが、長期に渡り少しづつ移りゆく風景は自然に受け止められてきたのだろうか。
近いうちに見ておきたいと思っている。

私の視点
建築の評価や批評は論ずる側によりさまざまである。
当然論ずる視点の位地だけでなく見る角度方向が異なる。
私も建築のみならず、すべからくなるべく良いところを論じようと思ってきた。
といいつつも如何にやんちゃな爺さんとなりまたうっとおしい爺さんとなるかということも必要である。
でなければ、良いところは論ぜ得ないとも考える。
本来の難しい批評は専門とする評論家に任せ、私はと言うと良いところをやんちゃ爺的視点から見つめていくのがいいのではないかと考える。

風景は風の景色でもある。
そよ風、舞い風、薫風、清風、緑風、葉風、花風、真南風、白南風、晨風、凱風。
その限りない空気や匂いを感じ取れる体感を研ぎ澄まし風を感じる。
思ってもみない空間に導かれることもある。
日頃から肌で感じる想いの彼方を見つめ心がけながら過ごすことは必要なことだ。

そんなことを思いながら、自身の事物はさておきいろいろと覗き込みそして批評し戯れてみようと思う。
少なからずとも建築を学んできたことが視点を面白くしてくれていると思っている。
些細な楽しみでもある。

 

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ウォーターハンマー防止器

 

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ホトトギスの種子

 

家の修理が一段落してからもう随分と経つ。
洗濯機の給水口につけたウォーターハンマー防止器は、少し様子を見るつもりでつけてみたが、甲斐も有り衝撃音はましになった。
止水栓型の防止器は、よく有る三角の星形の握りから形もシンプルで見た目も良くなりなかなかよろしいと言った感じとなった。
庭の草木たちも平常に戻ってきた。
ホトトギスも種子が出来ている。
カニシャボのまんまるの蕾は少しづつ細長くふっくらとしてきた。
クリスマスローズの蕾も育ってきた。
寒さはこれから峠を迎えるが、草々たちは伸びやかに育っている。

 

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