人と自然と建築と

nonobe's diaryーArchitect Message

Vol.115「endless thema - 110」(15年07月)

 

--------七月/夏の風

 

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オオクロアリ

 

木陰ではまだうすら蒼いセンリョウの実が育ち始めている。
ギンミズヒキも花芽がつき始めている。
裏庭のツルハナナスも蕾をつけ長い蔓が夏の風に揺れている。
差し込む日差しのなかざわめく夏が庭のあちこちで迎えてくれる。
どこから来たのか家のなかには珍客がやってきた。
二センチはあろうかというオオクロアリのようだ。
滅多に見ることもないので少し観察してから庭に放してやった。

ことしの日本列島は強い寒気が流れ込み大気が不安定となり局所的な大雨、突風、雷、降ひょうなどの注意警報が頻繁にでた。
先立てもうちの近くで落雷があったばかり。
よくいくさざなみさんのご主人が、近所で停電があったり、TVやパソコンのルーターなどの破損したお宅があると話していた。
避雷針に放電した雷は地面に流れ異常電流となり、過電流は地面を伝搬し各家庭にあるアース線から逆に進入して来る。
この過電流を誘導雷サージという。
サージとは瞬間的な異常過電圧のことで、一般家庭での誘導雷サージをブロックするには分電盤の空きスペースにSPD(サージ防護デバイス)という避雷器を取り付ければ大旨は安心だろう。

避雷針に雷が落ちる仕組みは、雷雲の地上側にマイナスの電気が集まっているため、避雷針は雷雲からの放電を誘導させ易いように先端はプラスの電気の帯電体となっている。
近頃では雷を誘導させにくいような先端がマイナスの電極を持つ避雷針も開発され、マイナスの電極どうしで雷雲の放電を避けるように出来ているものも開発されている。

 

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加茂街道の夏の風景

 

日本の夏は樹々が育ち美しい風景を造り出す。
賀茂川に並列して走る加茂街道沿いの樹々は、緑のトンネルのように街道を覆い生い茂っている。
雨上がりは賀茂川の流水の水かさも増し勢いよく流れている。
樹々の合間から見える空やひんやりとした空気、川の流れる音や水のしぶきは夏の匂いがする。

夏の風物詩は急変した天候に伴う夕立の雷だけではない。
太陽高度の高い直射熱は容赦がない。
室内には外気の影響を受けやすい熱負荷の大きなところは結構ある。
屋内に塗るだけで三度ほど下がると言う断熱塗料というものがある。
室内をサーモグラフで測定でもすれば熱負荷の大きい部分は視覚的にも解りやすい。
温度上昇の大きな箇所に塗るだけで熱効率は改善され、温度差のある部分が減少し室内環境のバランスがよくなる。

こういった断熱塗料や高反射遮熱塗料という分野の開発研究も日進月歩で進んでいるようだ。
コンクリートジャングルの都心では日が落ちてもコンクリートアスファルトの路面の熱がなかなか冷めないヒートアイランド現象が起き、輻射熱による気温はなかなか下がらない。
断熱遮熱塗料のなかでも路面に塗る熱反射性の断熱塗料は、より良い性能が確保されるような製品の研究も進められていると聞く。
屋上緑化と併用し屋根や壁面の温度そして路面温度の低減がエネルギーロスを減らし都市の快適な暮らしに結びついていくことだろう。

 

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白く色づいてきたフウラン

 

裏庭のまだ蒼い小さなフウランの花が大きくなってきた。
玄関先のフウランは少しづつだが白く色づいてきた。
半木陰の風通しの良い場所を好むようだ。
和名で風蘭、富貴蘭ともいう。
名前の通りの富貴な香りは、顔を近づけるとほのかに匂う。
尻尾のついたような小さな白花の間を夏の風がそよいでいる。

 

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