人と自然と建築と

nonobe's diaryーArchitect Message

Vol.132「endless thema - 127」(16年12月)

 

--------十二月/赤い葉、赤い実

 

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古木のサクラ

 

紫明通の中央に連なる紫明せせらぎ公園も、もうじき冬景色になる。
地面には黄紅葉した落葉が重なりあい絨毯のようだ。
紫明会舘の入り口にある古木の桜も美しく紅葉し、せせらぎ公園の景色にとけ込んでいる。
今月初めは橘始黄/たちばなはじめてきばむ。
柑橘類の橘の実が黄色く色づき始めるころをいう。
冷え込みが深まるにつれ、裏庭のホウチャクソウの葉は黄葉し少しづつ姿を消してゆく。
鉢植えの深紅に色づいたカマツカの葉や少し遅れ気味だが紅黄葉したマユミの葉に初冬の訪れを感じる。

 

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受け金具

 

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懐かしい形のストッパーも見える

 

久しぶりにガラス戸棚の汚れを落とした。
二十年余前実家の建替えをする際、生前父が診療所で使っていたキャビネットを引き取り、塗り替えをし、ガラスの部分には器を入れて使っている。
微かに匂う消毒液の匂いは、子供のころの記憶に重なる。
ガラスの棚板を外すと、白く塗りかえた丸い受け金具の形のいいのに眼がいく。
内側を拭くとき以外はガラスの棚板を外すこともないが、受け金具がこんな形だったかとあらためて見つめる今である。

 

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襖に使っている引手

 

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ツマミ

 

小さな抽き出しや戸のつまみは、塗り替えた時に取り替えたのだが、シンプルなデザインはかれこれ三十年程前の「Ohshima」のプロダクツで、フロストと名づけられている。
微妙な光沢と深みのある色合いは色褪せることもなく、そのいくつかは現在も市販されている。
和桜の合板を貼った本棚のつまみの引手、建具のガラス戸の引手や2階の和室の襖の引手にもこのシリーズを使っている。
襖に使っている引手は、本来は襖用ではなく木製建具用のものを使っている。
そのため両面に使うと襖の見込み寸法に厚みが合わず、召しあわせる反対側に少しあそびがでる。
襖に使うには一回り大きくヘリも広い。
しかし手が触れたときの感じもよく、数年前に張り替えた色を感じるほどのネズ色の手透き和紙によく似合う。
少し濃いめの紙色だったが時間とともに色も落ち着き気に入っている。

 

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センリョウの赤い実

 

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少しだけ残ったヤブコウジの赤い実

 

暮れが近づくと我が家の庭も赤い実で賑わってくる。
今年も沢山の実をつけたセンリョウの赤い実、少しだけ残ったヤブコウジの赤い実、もう少し時間のかかりそうなモチノキの赤い実や、ジュズサンゴの赤橙の実。

この時季、外気は気温の低下につれ湿度も低くなる。
ダニは湿度50%ほどになると動きが弱まって来る。
そして47%を下回ると自ら乾燥し始めるらしい。
気になるものは陰干しにし、からっとさせるのがダニの繁殖を抑えるのに効果がある。
高温多湿の室内環境はダニの繁殖にもってこいとなる。
冷え込む季節だが、適度の換気を心がけることも必要である。

 

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生垣のサザンカ

 

今月二十一日は冬至。一年で昼は最も短く、夜は最も長くなる。
裏庭の八重のツバキの蕾がふっくらしている。
前庭の白ワビスケの蕾もはち切れんばかりに大きくふくらんでいる。
生け垣のサザンカは、先月の山茶始開(つばきはじめてひらく)を過ぎた頃から咲き始めている。
年が開けてもなお長く咲き続けるサザンカ
冷え込みが増す程に元気な冬の木花たちである。

 

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