人と自然と建築と

nonobe's diaryーArchitect Message

Vol.93「endless thema - 88」(13年09月)

 

--------九月/本丸御殿

 

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ラン

 

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ベンジャミン

 

鉢植えのランが花をつけている。
今年は天候不順もあってか、一度つけた花芽は黒ずみしおれてしまったが、気がつくとまた花芽をつけ、今は元気よく咲いている。
ベンジャミンは幹廻りが一寸ほどにも大きく育っていたが、暮れの冬支度が遅れ葉が散り幹も瑞々しさを失っていた。
寒い間は、たまに水をやりながら部屋に入れていた。
春先になり庭の片隅に出しておいたが、すみれが芽をだしていたので忘れた頃に水をやっていた。
先月だったろうか、根に近い幹の部分からベンジャミンの新芽が出始め育ってきた。
自然や生命力は計り知れないものだと、思いを新たにしているところである。

 

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名古屋城本丸御殿

 

名古屋城の本丸御殿の復元が始まっている。
三期工事のうち一期工事までがほぼ完了し進行中の二期工事も素屋根がかけられている。
玄関から表書院にかけての一期工事の一般公開も始まっていていつでも見学できる。
名古屋城本丸御殿は昭和五年に国宝に指定されたものの戦火に遭い本丸御殿のほとんどが焼失した。
貴重な資料は戦火から逃れ、今回の復元に至ったとか。

屋根のこけら葺きに形の良い獅子口がのっている。
獅子口のかたちはへの字の綾筋が側にも設けられている江戸の様式のようだが、経の巻の取り付く位置や短い出が古い時代を思わせ優しい顔をしているように見える。
清洲越えにして天下普請に至った尾張徳川家の気持ちが伺えるようだ。
その寡黙なすまし顔は柔らかなこけら葺きに静かにたたずみ城下の安否を見守っているかのようにも見える。

 

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釘隠し

 

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襖の引手

 

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板戸についた飾り金物

 

パンフレットに依ると木材は主に木曾檜が使われている。
木曾檜は、細かい木目とほんのりと赤みを帯びたしっとりとした風合いのある美しい木材である。
暑い最中の見学だったが、檜独特の匂いが漂い気持ちも和む。
随所に、格式のある中にも繊細な表情を持つ飾金具が見られる。
正面玄関廻りの唐破風や入母屋の破風板は黒漆が塗られ金色の飾金具が取り付けられている。
内部には長押の釘隠、襖の引手、舞良戸に設けられた金具など。
すべて戦火から免れた資料をもとに正確に復元されている。
表書院上段之間側の廊下の外柱廻りの納まりにチリ寸の違う納まりがある。
柱の大きさによるずれのようにも思えるが、ちょっと気になるところである。

 

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小屋組

 

現在進行中の二期工事の素屋根が架けられ、屋根の小屋組も見学できる。仕口や継手も見える。
見学コースに掲げられたパネルにソーラマスターというシステムの説明がされていた。
ソーラマスターとは外部に面した採光ドームから太陽光を屋内に取り入れる照明システムで、ドーム内の曲面反射板で取り入れた太陽光を反射率99.7%のチューブで15メートル先まで配管が可能という。
施設内の照明はほぼこのシステムでまかなわれているようだ。
名古屋城本丸御殿は2018年の完成をめざしているとのこと。
想定や仮定ではない事実に基づく復元である。完成時にはまた覗いてみたい。

 

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脱皮したての鈴虫

 

うちの玄関の間には妻の実家から頂いてきた鈴虫が加わった。
飼育箱の中はかなりの密集状態。炭で作ったお家に沢山集まっている。
専用のえさと茄子やキュウリを取り替える。
乾燥ぎみがいいらしいのだが、霧吹きで適度な状態にしておく。
ただ湿り過ぎでカビには注意が必要だとか。
八月も終わりに近づき、脱皮したての子を見つけた。
日増しに脱皮した子が増えていく。
最初はキリキリカリカリのような新米声を出していたが、今ではり~んり~んと澄んだ声が耳をくすぐるようになった。
秋分の前ころまでには、ツバメは巣を離れ暖かい南に渡っていく。
日差しはまだまだ強いが、一日の昼と夜の時間が同じとなり、秋の深まりとともに徐々に夜の時間が長くなっていく。

 

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まだまだ日差しも強い

 

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