人と自然と建築と

nonobe's diaryーArchitect Message

Vol.95「endless thema - 90」(13年11月)

 

--------十一月/立冬・・・日々のくらしから

 

ヒヨドリバナが咲いた。
泉川に住む知人に頂いたのだが、花の名を聞き忘れたまま少しづつ育っていた。
花の名は聞けば済む話なのだが、今年初めて花をつけやっとその名も分かりなんだか急に愛くるしくなった。
ヒヨドリバナ秋の七草のひとつフジバカマと似ているので間違われやすいが、その名も知れずに野にひっそりと咲くという。
先の少し尖った葉は一対でつき、すっきりした丸みのある形状でギザギザがあり、葉の表面には細かい毛があるため触るとざらついた感触がある。
たくさんの小さな花が寄り添うように咲き、立冬を過ぎ寒さも増してくると種子となり風に煽られ飛んで行く。

 

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ヒヨドリバナ

 

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モチの木の実

 

ヒヨドリバナは名前のとおりヒヨドリが飛来する頃に咲くのでヒヨドリバナと呼ぶらしい。
もともとヒヨドリは渡り鳥であったのだが、温暖化が影響してか近年では住み着いている種もあるらしい。
昨年の今頃は仕事場の窓からヒヨドリをよく見かけた。
花の蜜や果実が主食で赤い実のモチの木の実をついばみにきていたようだが、今年は未だに見ていない。
そういえばこのごろハトの鳴き声をよく耳にする。
ヒヨドリが警戒して現れないのだろうか。
そのせいか随分と沢山の実が熟している。

 

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アシナガバチと巣

 

アシナガバチのお家も知らぬうちに大きくなっている。
いたずらしない限りは、襲ってくることはまず無い。
軒の見え隠れする雨のかからぬ居場所をうまく見つけたものだ。
越冬しないのかここで越冬しているのか定かではないが、毎年確実にアシナガバチのお家は大きくなっているように思える。
この先どこまで大きくなるのか気がかりでもある。

 

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アルバム

 

原稿はいつも、どんなことを書こうかと思っているうちにあっと言う間に締め切りの月末を迎える。
身近に季節を想いながらできるだけ手の届く範囲のことを感じるままに綴ろうと無い知恵をしぼっているといったところだろうか。
立冬を迎える中、Ensemble Philia のアルバム「Soli Deo Gloria」を聴きながら、秋の澄んだ空気のように頭の中もすっきりいくといいとふけっている。
Ensemble Philia はマリンバのアンサンブルでバッハを奏でる。
アルバムの後半には「トリオソナタ 第2番 ハ短調」BWV526 の演奏が収録されている。
短調なのだが、秋の始まりのような軽やかな心地よさの楽曲をよりいっそう美しく聴かせてくれる。

 

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アップルシナモン

 

我家の朝食用のパンを買うのは私の担当である。
いつも、近所にある青い扉が目印のパン屋さんで朝食用の食パンを買う。
今日は食パンとお昼のサッドイッチ、それにアップルシナモンというのを買った。
それは甘く炊いたリンゴとカスタードにシナモンを、チャパタの生地で包んで焼いてある。
ほんのりと甘く、シナモンとリンゴの香り。
外は雨。少し気温も下がりぎみで肌寒くはあるが、冷やしたアールグレーにぴったりか、などと思いを募らせながら帰る。
今日は秋らしい香りでほっと一休みである。

 

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ルリタテハ

 

裏庭では今年もルリタテハが育ち、巣立っていった。
喰い散らかした後のホトトギスの茎のさきには、まだ蕾のままだがやっと色づき大分とふくらんできた。
今年は暑さが長くつづいたこともあり、短い秋となった。

 

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