人と自然と建築と

nonobe's diaryーArchitect Message

Vol.126「endless thema - 121」(16年06月)

 

--------六月/初夏

 

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レモンの花

 

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アゲハチョウの幼虫

 

少しづつ居場所に馴染んできたレモンの蕾は暖かさにさそわれ咲いている。
食べかけの葉っぱの先にはアゲハチョウの幼虫も大きくなってきた。
アゲハチョウの幼虫は柑橘系の葉っぱを好む。
生まれたての幼虫は黒っぽい焦茶色をしているが、新緑の青葉を頬張りつづけ、大きくなるにつれて葉色になってくる。
背中の黒い縞模様はその名残かどうかは不明だが、巣立って行くのが楽しみである。

 

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ル・コルビジェのインドとHOME vol.02

 

東京上野にある国立西洋美術館が今年七月に世界遺産に登録されると報道された。
国立西洋美術館ル・コルビュジェ/1887-1965 の日本では唯一の建築である。
コルビュジェの図面をもとに門下生であった前川國男、坂倉順三、吉阪隆正が図面のまとめと監理を行なった。
アーメダバードの美術館同様に「無限に成長する美術館」というコンセプトに基き計画され、後にチャンディーガルの美術館でもこのコンセプトが採用されている。
空間構成上窓が採れないため、内部空間はトップライトやサイドライトを多用した自然光のある空間で計画されている。
1951年、コルビュジェは65歳のときに、独立間もないインド政府からの要望でチャンディーガルの都市に望んだ。
サヴォワ邸/1931 に代表される近代建築の5原則である自由な平面、自由な立面、水平連続窓、ピロティー、屋上庭園やドミノと呼ばれる床スラブを直接柱で支える構造の提案そしてモデュロールで知られているコルビジェだがチャンディーガルという異空間と呼んでいいのか別世界のような街を作り上げた。
インドの持つ特異性を機能させる空間は時代とともに定着している。
シンプルで美しい近代建築とは別のもうひとつのコルビュジェ、と言うよりチャンディーガルの建築群にコルビュジェの進化をみるようだ。
同年代のコルビュジェの代表作でもあるフランス東部ロンシャン地方の丘の上に建つロンシャンの礼拝堂 /1955 はチャンディーガルで創り続けた建築を彷彿させる魂の建築である。

言うまでもなくこの巨匠も小住宅を創るのがうまい。
なかでもコルビジェが妻の為に建てたちいさくて楽しいマルタンの休暇小屋/1951 や、穏やかな午後のひとときのような空気を感じるスイスのレマン湖の畔に建つ両親のために創られた「小さな家」/1924 は優しく創られている。
「小さな家」は鉄筋コンクリート造でありながら驚く程の細長い窓から見える風景や日差し、庭の片隅にある大木の下には高い塀があり湖をながめるためにあけられたピクチャーウインドウのような窓とテーブル。
そして小高いところに猫しか行けないキャットウォークがありその先にある湖の見える小さな猫の為の小さな物見台。
また、母親の愛犬が通りを見るための小さな窓など、コルビュジェの優しさそのものである。
巨匠ル・コルュビジェから学びそして得ることはあまりにも沢山有りすぎる。
機会があるごとに触れていこうと考えている。


【資料】
ル・コルビュジェのインド/彰国社 2005.6
Le Corbusier as Primitive Design/エクスナレッジ HOME vol.02
ル・コルビュジェの全住宅/2001年東京大学工学部建築学安藤忠雄研究室 編
住宅巡礼/中村好文 新潮社
ku:nel vol.18/マガジンハウス
ユリイカ臨時増刊 総特集 ル・コルビュジェ青土社
建築文化 ル・コルビュジェ百科 no.651/彰国社

 

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ユキノシタ

 

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ハクチョウゲ

 

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ハツユキカズラ

 

前庭の窓先の木陰にはユキノシタが咲いている。
毎年少しづつ群をなしてきた。生け垣を抜ける爽やかな風に気持が良さそうだ。
お隣さん側に顔を出しているハクチョウゲも元気がいい。
陽当たりは悪いが生け垣の狭間から小さな花びらが顔をだしている。
石積みの間に植えたハツユキカズラも咲いている。
風車のような花びらは初夏の風が吹くたび、今にも廻り出しそうにみえる。

 

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