人と自然と建築と

nonobe's diaryーArchitect Message

Vol.9「endless thema -6」(06年9月)

-------kiitos のT.H.さん

 

今回は、前号vol.5に名前がでてきた
北欧「フィンランド」のパンの店 kiitos とT.H.さんのことを紹介しようと思う。

 

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kiitos は、こんなお店です。
どうぞ気軽にドアを、お開けください。

 


どうしたらこのT.H.さんを小奇麗にできるか。
きっとT.H.さんを知っている人は皆そう思っているにちがいない。
でも、このT.H.さんの作るパンはとてもうまい。
うまいパンをつくるパン職人はいくらでもいるだろうが、
グンを抜くうまさであることは間違いない。
「あっ、これうまい。」とだれでもわかるものに、
北欧のパンではないがグラハム食パンというのがある。
皆さんが食べなれている食パンと食べ比べてみればそのうまさが判ると思う。

T.H.さんはもともと料理人であるのだが、何故かパン職人になってしまった。
そのせいかサーモンの薄切りをするときの包丁さばきは
ただものではないことがわかるくらいにうまい。
皮を下に身を上にした状態で、左手で皮をつまみ右手に持った洋包丁を
左から右にサーモンの身を薄く削ぐように包丁をスライドさせていく。
ご存じの方もいらっしゃることと思いますが、
サーモンのディル風味というのは簡単にいえばマリネである。
ブラウンシュガーを入れたディル入のオイル付けなのだ。
当然オイルで手はすべる包丁もすべるといったように
なかなか慣れないと薄く切れないのである。
それを当り前のように切っていくのだ。
この薄切りのサーモンを、パパン・レイパという少し酸味のあるライ麦で焼いた
硬めのパンにオニオンと粒マスタードを添えて食すのである。
フィンランドは北欧に位置するので
本来きつめのウォッカなどに合うのだろうが、ワインにもとてもよく合う。
わが家ではシチューの日に食すことが多いが、
パンはパパン・レイパだけでなくルイス・リンプや、
言わずとしれたジャガパンとジャガピタにもこのサーモンのディル風味をのせる。

 

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写真中・右:作業中のT.H.さん

 


ワイン好きの方なら、フランスパンをかじりながらのワインというのが
お好きなかたもいらっしゃるでしょうが、
それならばkiitosのじゃがパンをほおばりながらの赤ワイン。是非一度ご賞味を。

そして、近作のいちじくとくるみ入の「妖精のまくら」や
クランベリー、杏、レーズン入の「魔女のつえ」など、
名前は別にして、うまさがにじみ出てくるのである。
ほんのりとした甘さがワインによく合う。
ほかにもいろいろあるが、どれもうまい。
横文字に弱いのは私だけかもしれないが、フィンランド語の名前が難しく、
前になにを買ったかが区別しづらい
(形も区別しづらいかもしれませんが・・・。)ので、
ケースに並んだ順番に食していくという方法もいいだろう。
たまに順序がかわっているのでごめんなさい。

またカリャラン・ピーラッカというフィンランド
カレリア地方にあるパンと言っていいのかどうか判らないが、
ミルク粥を薄いライ麦のパン生地で包んである
カレリアパイというものがあるのだが、
食べ方はゆで卵を細かく刻んでバターとあえたムナボイというものを、
暖めたカレリアパイにのせて食すのだ。
食べて見ればわかるが、なぜかうれしくなるような味である。
これもkiitosで買える。

添加物を使用しない旨みは穀物のもつ旨みそのものであり、
全粒粉のライ麦や小麦の穀物を野性酵母天然酵母
その旨みをさらに増してくれるのだろう。

kiitosには、外人さんもよく買いにくるし、
遠方からわざわざやってくるひとも多い。
低インシュリンダイエットのブームのときは
インターネットでの注文の発送で、多忙のようであった。
それにT.H.さんの人柄もあり女性ファンも多い。

 

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写真左が焼き上がったばかりのじゃがパン。
じゃがいもが生地に練込んであり普通のフランスパンより香ばしい。
写真右の左下がカレリアパイ

 


興味のあるかたは、kiitosのホームページ
http://www5a.biglobe.ne.jp/~kiitos/ で、どうぞ。

本当にマエフリだけになってしまい、タイトルの「人と自然と建築と」にそぐわず、
といってもサブタイトルの「endless thema」にはぴったりの「人と食い物」
(ちょっと表現が悪くすみません)になってしまいちょっと反省しているが、
次回こうご期待というところである。



 

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