人と自然と建築と

nonobe's diary

endless thema -142------五月 立夏過ぎ行く日に/AED 

 

 

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毎年、らでぃっしゅぼーやから雨水も終わるころに桃の枝が届く。今年はクルーの方から「霧吹きで世話するといいです。」と教えて頂いた。いつも咲きかけては咲かなかったが、三月に入って間もない日に咲いた。八重のやさしい花びらの「花桃」というと呼ばれる種類だ。

あれから三ヶ月近くが過ぎた。まだ世界中で新型コロナウィルスの影響はつづいている。緊急事態宣言は一部要請継続がつづくなか解除の方向になった。近所の保育園の園児たちの散歩の途中に、玄関先の信楽のたぬきとお話しごっこをする姿を見られる日が早く来るといい。

 

 

 

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机の片隅の未整理の新聞の切り抜きの中に、昨年暮の朝日新聞に掲載された「SOSボタンで市民がAED~大阪で実験へ」と題したスマートフォンを使った人命救助システムが紹介されている。AEDとは自動体外式除細動器のこと。

紹介されていたシステムは、一定区間の適所にSOSボタンを設け、ボタンが押されるとその近くの救命訓練を受けた人のスマートフォンに連絡がいき、それを受けた人が近くにあるAEDを持って駆けつけると言うシステムである。消防救助隊の到着より早くAEDによる処置が行なわれれば。より後遺症のリスクは減少するという。AEDの設置場所についてはスマートフォン用にナビゲーション機能付きのAEDマップでも場所がわかる。

昨年夏、京都市消防局の学区単位で行なうAED救命講習の機会が有り参加した。救命講習は、二年に一度定期講習を受けることを勧めている。いざというときにどれだけのことが出来るかは難しいことだと思うが、今後も機会があればつづけていこうと考えている。

 

 

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裏庭の窓先ではオダマキと白いネモフィラが咲いた。オダマキは漢字で苧環と書く。頭花弁でみわけることができ、花弁に距という足のようなかたちがみられるのでわかる。手がかぶれることもあるので注意が必要だ。白いネモフィラはスノーストームといい、白の花弁に紫の斑点の模様がある。爽やかな初夏を思う風に揺らいでいる。

endless thema -141------二月/雨水草木萠動

 

 

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晴れた日のサンルームは随分と暖かくなってきた。もうじき草木が芽を出し始め春の風になる。干してある椎茸に穏やかな日差しが降りそそぎ、ゆっくりと旨味をため込む。

 

 

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裏庭のクリスマスローズの蕾がくびをもたげ始めてから二週間余たった。まだ、朝の冷え込みが厳しい中咲き始めている。丸みのある花びらは寒さ残る雨水の風に呼応し、ゆかしくうつむき加減に咲いている。急な暖気の影響か、今年は平年に比べ幾分か早咲きになった。

endless thema -140------立春/鼠走

 

 

 

 

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昨暮から咲いている白ワビスケはまだ元気に花をつけている。とじ気味の白い花びらは控えめだ。蕾の育ってきたジンチョウゲ。初風にさそわれ、馥郁と匂い漂う季節が来るのが待ち遠しい。

 

 

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毎年其の年の干支に因んだ建築語彙を賀状や寒中見舞いに使う。今年は鼠走。写真は下鴨神社本殿の鼠走。鼠走 ( nezu-bashiri )とは、堂宮建築の板戸の軸を差し込むための穴のあるまぐさ ( 開口部の上枠 ) のことをいう。板戸廻りの造りの多くは、建築の様式や年代にも依るが、内法貫に取り付けられた藁座に板戸軸が差し組んである。主に柱頭をつなぐ頭貫の下方に設けられた内法貫に、藁座と言う雲形の部品を取り付け、藁座の下部に金属製の軸吊金具の碓金具に穴を開け板戸の軸を差し込んであるのを見る。それに比べ鼠走は簡略した造りだが、象徴的なイメージでもあり、シンプルで理にかなってるとも思う。

 

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裏庭のクリスマスローズの花芽が大きくなってきた。少しづつ頭をもたげてきている。花をつける頃には厚手の上着はいらなくなる。丸くなりがちな背中は伸び、少しばかり上を向いて歩ける季節になる。

endless thema -139------十二月つづく月そしてつづきの月へ

 

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寒さも深まり、いつのまにか冬景色がただよい、サンルームでは結露が著しくなってきた。裏庭ではカマツガの実が深紅になり葉も赤く染まっている。ラズベリーレッドの実にローズレッドの葉のコントラストが美しい。

 

 

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冬至を過ぎると途端に陽が高くなってくる。裏庭の蕾の大きくなってきた八重のツバキも眩しそうだ。これから少しづつ昼間が長くなっていく。

endless thema -138------十二月/セピアの記憶 

 

 

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頬を横切る風がうれしい小春日、玄関先ではセンリョウの実が色づいている。日差しは穏やかになり、サンルームを照らしている。干してあるかぼちゃのタネは薄皮が剥がれるくらいになったら丁度いい。空煎りしてから殻を割り実を食べる。香ばしさも相まって、これが意外と旨い。

 

先月始めだったか、故村野藤吾設計の大阪新歌舞伎座 ( 1958年 ) の取り壊しがTVのニュースで流れていた。11月22日の朝日新聞には「新歌舞伎座 面影残す宿」として紹介されている。ふと、記憶が行き交うように名古屋の丸栄百貨店はどうなったのだろうと思いがめぐる。

 

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宅建築 / 建築資料研究社の二月号 ( 2019.NO.473 ) に名古屋の栄にある老舗百貨店の丸栄 ( 1953年竣工、1956年と1986年増築 ) の特別記事  <名古屋に根付いた百貨店「丸栄」> と題して掲載されている。故村野藤吾が1953年に建築学会作品賞を受賞した建物である。老朽化にともない一部保存され、周辺区域を含めた再開発が計画されるらしい。

子供の頃、両親に連れられ丸栄百貨店によく来たのを思い出す。アプローチに張られた蛇紋岩やエレベーターホールの珊瑚珠色の文様のある大理石(ルージュ・ド・ヴィドロールと言うらしい。)に東郷青児の描いたエレベーターの扉の絵。階段廻りの手摺や石張り‥‥。微かに脳裏にあるセピアの記憶が色づけられていく。

 

階段の壁面の石をさわってみたり、手摺を握ってみたりと落ち着きの無い私を、両親はヒヤヒヤしながら見守っていたに違いない。子供の頃の記憶は色彩の無いモノーラルな断片ばかりであるが、何かの刺激で繋がり色づき滔々と流れ始める。丸栄百貨店は私が建築を始めるにはまだ間があるころの記憶であるが、「丸栄」という言葉からセピアの記憶のかたちへとつづいていくのはうれしい記憶である。

 

質のよい建物が取り壊されて行くことは心もとなくも思う。しかし、時代は変わりそれ以上の建物に移りゆくであろうことを望みたい。

 

 

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JuJuのアルバム「DELICIOUS」を聴きながら、午後のコーヒータイム。裏庭ではルリタテハの幼虫に食い散らかされて少しだけ蕾の付いたホトトギスがまだ花を咲かせている。数ヶ月前には、裏庭で始めて見かけるヒメアカタテハも飛んでいた。ヒヨドリバナの蜜を吸いに来ていたのか、生育場所を探していたのかは不明である。春が来たら、ヒメアカタテハの幼虫の好物のヨモギでも育ててみようかと思案するところである。

endless thema -137------四月/猪の目 ino-me

 

 

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庭の草木たちは寒さを覚えるときから日々刻々と時を刻み、実のあるものは赤く熟し、花をつけ、香りのあるものは香りを放ち、今ではシラユキゲシが咲き始めている。紫明通にある紫明会舘の古木の桜も満開となっていた。淡い春色の白い花びらが長閑にそよ吹く風に呼応している。

 

 

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前号から随分と空いてしまった。年初めの一月号にと思っていた「猪の目」であるが随分と遅くなってしまった。毎年の賀状には其の年の干支に因んだ建築語彙を使うことが多い。今年は、伝統的建造物の懸魚や八葉などに見られるハート形の文様で「猪の目」を用いた。今年はその金物編。左から名古屋城本丸御殿の長押の八葉釘隠し。中は仁和寺御殿の板扉(板唐戸)に付けられた八双などにかわいいハート形が見える。右も同じく仁和寺御殿の板扉に設けられている唄金物で、中央の周囲にはガラスのような素材がはめ込まれているのか透明感のある輝きがうつくしい。

 

 

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仁和寺には昨年秋に特別拝観が有り参拝した。その日は、白書院、黒書院、宸殿、霊明殿のある御殿と、修復の終わった重要文化財観音堂、そして堂内の裏堂に描かれた五大明王が公開された国宝の金堂を見学した。観音堂寛永21年の建立で、堂内には壁画や柱画が描かれている。外部の軒廻りには蛇腹支輪、斗供の上の尾棰木には木鼻が掘られ、妻側には妻飾りなど装飾豊かな建造物である。金堂は慶長年間造営の御所内裏紫宸殿を寛永年間に移築されたもので、堂宮に見られるような組み物などの少ないシンプルな造りで、毅然としたプロポーションは端正で美しい姿をしている。

 

 

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御殿の廊下の板戸に描かれている桜の絵に目を引かれる。宸殿の床框に施された螺鈿細工や欄間の装飾、蟇股に彫り込まれた木目細かな文様など繊細な造りが印象的であった。特別拝観と言うことも有り人々人で、静かな日にゆっくりしたいそんな一日であった。

 

 

 

endless thema -136------十二月/巣立つ

 

 

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 寒暖のゆきかうなか、前庭のシロワビスケは先月初めから咲き始めている。心持ち早めの開花は天候不良によるのだろうか。少し閉じ気味の控えめな花は、しとやかにもおしゃまにもみえる。 

 

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裏庭ではルリタテハが羽化している。不気味な顔つきのルリタテハの蛹は小さなコウモリのように見える。

 

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時折、大きく羽根を動かし飛び立つ準備を初めている。毎年のことだがホトトギスの葉を食い散らかし巣立ってゆく。ホトトギスの花はもうとっくに終わった。葉の裏では今だに蛹のままや、ぷるぷると体を動かしこれから蛹になろうとしているのもいる。さらに冷え込みは深くなるが、うまく羽化するのか心もとない。

 

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冬には部屋に移動している鉢にぶら下がっていた蛹も巣立って行った。植木棚の上に置いたヤブコウジの実はあっという間に真っ赤に染まった。今年は穏やかな初冬になった。