人と自然と建築と

nonobe's diaryーArchitect Message

endless thema -168------ 2023年7月 / 風景

玄関の格子戸を開けるとフウランの香りが漂ってくる。動植物等の名は一般的にはカタカナ表記だが、漢字では富貴蘭/ふうきらん と書く。今は玄関先と裏庭に置いている。

 

前回、橋の話を書いたついでと言っては何だが、バックナンバー 2008.11 endless thema - 30 を一部修正し再投稿することにした。2023年現在の姿とは多少の変貌はあるだろうが、鴨川の土手沿いを散歩しながら、鴨川に架かる橋を考察したしたときのものである。

 

-------ウォッチング

久しぶりに賀茂川を歩いた。賀茂街道を横切り河原に出る。ざわめきが残る夕刻の川面はこころ安らぐ風景をつくりだす

幾つもの通りを横切って河原を行くので、両岸の橋の下を行きと帰り、くぐった橋の数だけ二度くぐる。ついつい橋の裏側の橋桁や橋脚にも目がいく。

 

橋は川幅にも依るが、川中に数カ所のコンクリート製の橋脚があり両端が岸のある道路側で支えられている。構造体が隠れてしまっている場合が多い建築とは違い、土木系は構造体がそのまま露出している場合が多く、ストレートに表現されダイナミックである。その分、美しくデザインされているか否かも目に映る。

橋梁の下端がゆるい曲線を描いているのは視覚補正されているためで、中央を少し上側に持ち上げることにより垂れ下がり感をなくしているのである。

 

 

ご存知の通り橋は鉄骨で造られることが多い。伸びもすれば揺れもする。大スパンの橋梁などはピン支点と呼ばれる接合方法が用いられている。写真の橋の架構は、中側の一ケ所の支持が回転端(PinあるいはHinge)でコンクリートの橋脚の柱頭に載せられている。

 

その他と両側の支点は移動端(Roller)となっており、地震時のみならず車やトラックが通ることによる震動や変形と、通常の自然気候の寒暖による変形や収縮膨張に追随できるように、すべるように取り付けられている。

 

橋によって支点の形状にもいろいろある。地震等による支点の破損で橋桁がずれて落ちないようにか後で取り付けられたのか取って付けたような補強の金物がついている箇所もある。

 

勿論、他にも架構の工法はある。別の橋ではピン支点は全て回転端を用い側桁にExp.j.のようなものが設けてある。

 

土手の向こうは賀茂街道。交通量も多いし成のあるバスやトラックも通る。河原からのビューも重要である。歩いていて車が見えるのはいただけないが、確かに車で走っていても広い河原や水際の近くは見えるが、土手側の道は意外と見えずらい。土手の傾斜と緩衝緑地は効果的な役目を果たしている。(2008.10)