人と自然と建築と

nonobe's diaryーArchitect Message

Vol.101「endless thema - 96」(14年05月)

 

--------薫風/さくら

 

p_nono1405a
モチノキの花

 

p_nono1405b
ヒメウツキ

 

今年は植木の剪定を遅らせた。
それが功を生じたのか、モチノキの花が驚くほどついた。
新葉と同じ花色は、実の赤く色づいたときになってどんな花だったろうと記憶を辿るほどだ。
この実全てが赤く熟せばなかなかのものかなどと想いを募らせている。
ヒメウツキの花も咲いている。姫空木または姫卯木と書く。
卯の月、五月の花である。
卵形の花芽もはち切れんばかりに膨らんでいる。
白い小さな花芽が薫風に揺らぎ、咲く程合いを見計らっていたかのように咲き始めている。

 

p_nono1405c
容保桜

 

p_nono1405d
しだれ桜

 

p_nono1405e
芝ざくら

 

少し時季がずれてしまい五月号にも桜の話で恐縮だが、先月号に書いた京都府庁旧本館の中庭にある容保桜(かたもりざくら)は大島桜と山桜の特長を併せ持つといわれる。
葉と花が同時に開き、茶褐色の新葉と白い花びらのコントラストが美しい。
半木の道で撮ったしだれ桜と、比較するとその違いもよく分かる。
半木の道の帰り、北大路橋の近くの花屋さんで白い蕾のある芝ざくらを見つけ二鉢買った。
三週間ほどで満開となった。
さくら違いだが季節感もあり、頃合いをみて石積みの間に植えることにした。

 

p_nono1405f
玄武やすらい花の巡行

 

p_nono1405g
玄武やすらい花の巡行

 

毎年四月の第二日曜日にやすらい祭りが、玄武神社、川上大神社、今宮神社、上賀茂神社(上賀茂地区は五月十五日)で行われている。
偶然、新町通りを通りかかったときに赤い花傘をみつけた。
玄武やすらい花(鎮花祭)の巡行で氏子地域をまわっているのだそうだ。
赤い法被の背中に玄武の文字がみえる。保存会の玄武会の方たちである。
タイミングもよくその途中に出くわしたようだ。
玄武やすらい花は花の精の力に依って疫病神を沈め健康を願う春の先がけの祭りで、京都で春一番のお祭りだとか。
玄武神社のホームページに依ると、氏子地域が広いこともあり四班構成で行われ、笛の音やかけ声に合わせ、赤い衣装を身にまとった鬼が太鼓や鉦(かね)を鳴らしながら踊り、練り歩く。
囃したり踊ったりするのは、豊かな稲の実りを祈るとともに、疫病神を踊りの中にまき込んで沈めるためと言われている。
また、桜の花の開花遅速が、その年の稲の豊凶を定めることから、稲の花が早く飛び散らないようにという豊作を願う意味合いも加わったと伝えられている。
(玄武神社公式サイトより抜粋抄出)
現在、やすらい祭は国の重要無形民俗文化財に指定されている。

 

p_nono1405h
ツルハナナス

 

玄関先に置いたツルハナナスの花が咲いている。
半年ほど前、季節外れに買い植え替えまで木陰に置いていた。
裏庭のツルハナナスはうっすらと紫かかった花をつけ葉の裏はプラムパープルの色をしている。
この子は少し厚みのある感じの真っ白な花。
葉に切れ込みも有る。はっきりしたことは分からないが、実をつければヤマホロシかも知れない。
そのとき一緒に買ったジュズサンゴもそろそろ植え替えの季節。
早くお似合いの鉢を見つけてやらないといけない。

 

p_nono1405i
ツタガラクサ

 

裏庭では生息範囲を広げつつあるツタガラクサ(ツタバウンラン)も咲いている。
多年草の野草で寒い時期は葉も枯れて、暖かくなると雲のような葉が出始め初夏の訪れとともに淡い白紫の小さな花が咲く。
赤紫色がかった細く華奢なツタ状の茎を延ばしながらふえていく。
時期がくると葉の裏側も茎と同じ赤紫がかった色となる。
雑草と野草に特別な線引きはなく、勝手なことにその言葉を使う側の都合にある。
必要としない場所に出没し雑草と呼ばれた途端、哀しいことに粗末にされてしまうのは残念なことだ。
ブラインド越しに見える午後の日差しも目にくっきりと写るようになった。
地植えのホウチャクソウや鉢植えのケマンソウたちもあっという間に花をつけた。
シラユキゲシも郡をなし咲いている。
見渡せば、初夏の花に変わりつつあるのに気がつく。
まだ薄ら寒さの残る感覚はあるが、日向を歩くと汗ばむ。
花曇りがつづいていたのはつい此間のこと。
雲の合間からは青い空が広がっている。
そろそろ木陰を探して歩く季節だろうか。

 

*****