人と自然と建築と

nonobe's diaryーArchitect Message

endless thema -167------ 2023年6月 part. 2 夏 / 橋脚

 

 

差し込む日差から避けるようにユキノシタが花をつけている。上手い事、木陰を見つけているようだ。

 

 

イワタバコも花をつけた。紫と白の花。紫は場所が悪かったのか、雨風の影響で花のほとんどが落ちた。白の鉢はセンリョウの葉に守られたのか長く花をつけていた。

 

少し前だが、NHKの「解体キングダム」と言う番組で有ヒンジラーメン橋と言う言葉が出てきた。ヒンジとは回転端をいい、ラーメンとはラーメン構造のことで接合部が剛接になっている構造をいう。剛接合された柱頭から伸びた肩持ち梁の先端同士を連結していく橋を有ヒンジラーメン橋という。

柱脚間の連結部分に設けられたヒンジにより、歪み変形を吸収するのだが、片持ち梁と言うこともあり、長期に渡り徐々にそのヒンジのある中央部が下がってくることが判明しているため、下りを防ぐためにケーブル線などで引っ張る補強が施されている。

 

番組では、巨大な橋梁などや補強ケーブル線の解体をしていくのだが、高架下の道路を妨げる事なく工事を進行させて行く。これが至難の技だ。

過去の放映では、昨年解体された黒川紀章設計の中銀カプセル集合住宅の解体作業も紹介されたが、どんな場面でも設計理論と現実のギャップはある。

こんなのどうやって解体するの?みたいな日本のいろいろな解体工事の技術をシリーズとして紹介され、なかなか興味深い。

 

陸橋のデザインは鉄骨など構造体がそのまま表現される。このブログのバックナンバー 2008.11 endless thema - 30 の橋の話や 2015.3 endless thema - 106 の駅舎の話を書いた事などなど、鉄骨の話は時折り出てきます。

今は使われないリベットはいろいろな所の駅のプラットホームの鉄骨にも今でも残っている。古さと新しさがクロスオーバーした空間は何故か不思議な居心地の良さを感じる。

endless thema -166 ------ 2023年6月 初夏 / ムジナモ

台風の影響がつづくなか、陽射しは随分と高くなった。生垣の足元のサツキは少しづつだがまだ咲きつづけている。サツキも、もうそろそろと言う季節になった。

 

ミニバラの小枝を妻がご近所さんから頂いてきた。早速花入れに入れたのだが、よく朝あたりから黒い粉のようなものがぱらぱらと。チリか花粉かなどといっている最中に、葉が食され何か動くものを発見。調べてみたらチュウレンバチの幼虫のようだ。人に害はないらしい。見つけたらつまんで駆除している。小ぶりの白花が綺麗だ。蕾も沢山あり少しづつ開いた。

 

6月1日の朝日新聞夕刊に連載の「 三谷幸喜のありふれた生活 1135 」中に 「 もちろん僕のことを正確に知らなくても、生きる上で何の不都合もない。僕としても、あの男はいつまで経ってもよく分からない奴だな、と思われていた方が、どちらかと言えば気が楽ではあるのだが。」と、いうくだりがあった。つい、そうそうと共感しながら読ませてもらった。建築と言う仕事はプライバシーにも抵触することもあり、他言は必要以外はしない。自身としても、なんかぶらぶらしてるという感じに見られるのが、結構好きなほうである。建築事務所と聞くと、設計監理と考える人が多く図面ばかり描いていると思われがちだが、建築というワークのなかのひとつが設計監理業務である。建築と言う捉え方からすると、人がかかわること全てに繋がっている、と考えるのが好ましい。

何してんだかって思われているうちが一番楽しいし、客観視できている瞬間かもしれない。

 

その三谷幸喜さんの書かれている紙面のエコ•サイエンス欄に「 ムジナモ 」の記事があった。放映中のNHK朝ドラで話題の牧野冨太郎が発見命名した食虫植物のことが書かれてる。中央大の西原昇吾さんらのチームが石川県のため池で発見した。ムジナモは国際自然保護連合レッドリストに分類される。国内では人が手を加えた個体群として確認されているにすぎない。今回の発見は自然のまま生息した個体群としては、国内唯一と言う事らしい。ため池の撤去や保全の補強工事等を施すような場合には、十分な調査検討が必要と指摘されている。

ムジナモはミジンコなどを捕食する食虫植物で1890年に発見され、名前はムジナのシッポに似た藻という意味らしい。かたちも可愛いが、名前も面白い。

いろいろなところで、いろいろな調査研究が進んでいる。沢山の小さな研究からは、大きな事由へと繋がっていく想いがする。

endless thema -165------ 2023年五月 / 賑やかな庭の風景

 

らでぃっしゅぼーやからのしょうぶの葉を、こどもの日に菖蒲湯にした。軽く水洗いし刻んで布袋にいれ、バスタブへ。爽やかなしょうぶの香りがたつ。季節を感じる一年の節目でもある五節句のひとつ、端午の節句。「しょうぶの名産地、茨城県行方市横瀬忠美さん生産の農薬不使用のしょうぶ。」

 

 

裏庭の所狭しと育ったシラユキゲシの狭間からミヤコワスレが顔を出していた。白に近い薄紫と濃いめの青紫が咲くが、今年は濃いめの青紫が咲いていた。

 

 

オダマキは一つだけ咲いていたが、しばらくするといくつもの花芽もでてきた。薄紫がかった白花は透き通って見える。

 

 

カマツガのひょろ長く伸びた枝の先には、もう大分と散ったが花がつき実も出来始めた。前に実をかじったことがある。甘味は微妙だったが、鳥か小動物たちだろうか、食され気がつくと実がなくなっていたなんてことがよくある。実は赤色がかりそして赤紫へと熟していく。

 

 

エビネも毎年少しだけだが咲く。若葉もでて元気そうだ。ヒメイズイも咲いた。ホウチャクソウに似た小さな花が葉に埋もれたように咲く。タイツリソウも芽吹き始め、スミレにまじり大きくなってきた。黄色い小さな花のヘビイチゴも咲いている。

 

 

石垣の足元のタツナミソウも満開だ。裏庭のタツナミソウは時間差で咲いた。日当たりと温湿度の関係だろう。

 

 

イチゴの花もまだ咲いている。まだ蒼く実も出来始め楽しみであるが、熟した実が何物かに齧られていることしばしば。前、道を歩く猫に遭遇。しばらくして木戸を開けたところ、庭に同じ色の猫が休んでいた。んー、此奴かもしれない・・・。

 

もの静かだった庭は、ようやくと賑やかな風景になってきた。

 

 

endless thema -164------ 2023年四月その2  初夏のよう / 電波塔

春の日の陽だまりは、気持ちも華やいでくる。二葉葵の鉢を日向に引越した。1鉢は裏庭の鉢棚の上に置いてみた。薄紫の花は少しづつ深みを増す。地植えの白花の二葉葵も咲いていた。

 

 

ホウチャクソウも生息範囲を拡大している。アスパラガスのような芽が出始め、気がつくともう花が咲いている。塀際のシラユキゲシにもネギ坊主のような花芽が出たなと思っているうちに次々と咲いてきた。

 

名古屋テレビ塔(1954年)が、令和4年に重要文化財に指定された。電波塔としては、日本初のTV放送の為の電波塔である。

設計は内藤多仲内藤多仲はこの時期に東京タワーや通天閣をはじめ全国六箇所の塔の設計をしている。

現在は電波塔としてのお役も終了した名古屋テレビ塔は、高さ180メートルを誇り久屋大通りのセントラルパークにそびえ聳え立つ。まだセントラルパークも出来て間もないころの若い頃の記憶が入り混じる。

鉄骨接合部にはリベットが使われている。リベットは焼いた鋲を取付アナに差込、熱いうちに反対側を叩いて固定する為、頭が半球の形をしている。時代を思わすデザインが今も残る。

多仲は名古屋テレビ塔から4年後に東京タワーを手がける。東京タワーの鉄骨は物資の不足した時代、アメリカ軍の戦車をスクラップにした戦争という大過からできていると言う話をこのブログ(バックナンバー endless thema - 105/2015.2 、同149/2021.12 )で投稿したが、名古屋テレビ塔も同じと推測できる。

 

 

ついでにと言うとなんであるが、京都タワーはその10年後東京オリンピック開催の1964年、設計は山田守である

昨年秋のTV番組中( KBS放送 京都画報 )で紹介されていたが、塔の内部構造はこの映像で初めて見た。定期のツアーはあるものの貴重な映像で興味深かった。

構造は厚板の特殊鋼板によるモノコック構造( 応力外皮構造 )が使用されている。モノコック構造はパーツごとを半自動溶接により組み立てられる工法で、主に旅客機などの航空機や電車の車両などを作る技術で造られている。

映像は外皮の一内部であったが、エレベーター若しくは階段の補強材のような部材が映し出され、その鋼材にはやはりリベットが使われ、落下防止棚や外皮の保護材かエキスパンドメタルのようなものが設けられている。

 

京都タワーは整備計画も持ち上がっていると報道されている。定期のメンテナンスは欠かす事はできないだろうことだが、流石にその仕上がりの良さと滑らかな曲線は美しい。

西陽に映し出されたタワーは京都駅ビルのミラーガラスに映り込み、自然が創り出す空の変化に揺らいでいる。

 

endless thema -163------ 2023年三月も終る頃 / 二葉葵

春めいた日差のなか、今年も八重のクリスマスローズは沢山の花をつけた。

雪の影響だったのか古葉が随分と傷んでいたが、若い葉は元気そうだ。

少し切り揃えて、すっきりとしている。

春分の頃には花開く八重の椿もよく咲いた。

誰かに似てか、寒暖にも負けずに相変わらずのマイペースだ。

 

 

前庭の沈丁花は蕾が白く色づき始めていたのも束の間、

陽気に誘われてか次々と咲き始めた。

生垣のカナメモチの若葉が赤みをおび沈丁花の白花と重なり綺麗だ。

窓を開けると馥郁と風は薫る。

 

 

二葉葵もよく育っている。( endless thema -143に白花の写真があります。

白花は珍しいと聞いてます。)白花の地植えと鉢植えがあるのだが、

それに加えて妻が上賀茂神社の葵プロジェクトに協力している。

葵祭の飾りに使うための葵を育てる活動をしているのが葵プロジェクトです。

花色は薄紫になる。上賀茂神社は鴨川御園橋東詰を東に行くとすぐ。

 

二葉葵は春の暖かな日向で光を浴びて大きく育つ。

日差しが強くなるゴールデンウィークのあと辺りからは風通しのいい日陰に移して、

水のやりすぎによる根ぐされと乾燥しすぎに注意をしながら育てる。

二葉葵は茎にでた根の元が土につき根がでてバルブ状に増えるのと、

タネから増えるのと、ふた通りで増える。

元気に育ち増えた株は、株分けし上賀茂神社に里帰り。

もう数年育てて大きくなって、奉納出来るといい。

 

 

endless thema -162------ 2023年三月 冬の景色 / 断層

 

窓ぎわに置いたクリスマスローズが咲き始めている。裏庭のクリスマスローズ達はタネがこぼれ落ちた地植えと、それ以外は種類の違う鉢植えだ。八重の蕾はまだ小さいが開きかけているのが見える。塀ぎわのは、白と淡黄や紫などの混植だが、いつも紫から咲き始め、白と淡黄はまだ小さな蕾のままだ。地植となった白も咲き始めた。

 

 

寒波雪日で雪にも覆われ大丈夫だろうかと思っていたのだが、すっかり元気を取り戻している。鉢からこぼれたタネから発芽した野草たちは、季節を過ぎ、大半が次第に朽て土に戻る。シラユキゲシのまだ小さな葉が塀ぎわのあちこちで揺れている。ホウチャクソウはもう新芽が出ている。枯れた茎はまだ残ったまま多少殺風景な冬の景色となっているが、暖かくなるにつれ少しづつだが賑やかになる。そんなサイクルを繰り返している。

 

トルコ南部のシリアとの国境近くで起きた地震マグニチュード7.8( 以降Mで表記 )。組積造が多いだけでなく、違法な建築が崩壊に至っているようだ。トルコやシリアの構造基準はわからないが、建物の崩壊した状態の凄まじさに驚かされる。

気象庁のホームページから2022年の海外でのM7クラスは15回、今年に入って2月6日までに5回ある。先月下旬には日本でもM4~5のエネルギーの大きさで、福島沖と石川県能登半島や、釧路沖のM6.0がたて続きに起き、今月に入り千葉北東部、八丈島近海、釧路沖と続いた。

2022年のM7クラスは、3月16日の福島沖のM7.4と9月16日の台湾付近のM7.3の2回。

 

日本気象協会によると昨年、世界でM7以上は19回で過去104年間で年間発生数平均は16回ということで、ほぼ平均発生回数のようだ。ちなみに、2021年は20回の発生回数と記録されている。

1995年1月17日の阪神淡路大震災からは28年が経った。朝6時前、揺れの大きさで目が覚めたのを記憶している。2010年02月のendless thema - 45 と2021年11月のendless thema -147 にも関連内容を書き留てある。

 

阪神淡路大震災の建築相談ボランティアでは、断層のずれに依る地表面に現れた断裂が建物の中央部を横切った住宅の状況確認にもいった。上部の木部構造部は多少の損傷や家具などの倒壊や落下物が見られたものの、地下構造部の損傷は全く見られなかった。地表の亀裂が建物の中央を通り反対側に続いていく状態を目のあたりにした経験から、鉄筋コンクリートの耐震性はなかなかのものだという思いが残っている。

 

日本の構造基準には信頼性はあるが、計算上の基準値通りの経済設計にとどまるのではなく、計算途上での余力の余力などとして扱う累計が功をなすと言うことも念頭に入れる必要があると考える。

自然は突然と脅威に変わる。戻すことが出来ない程に形が変わってしまう。

少しだけ、書き留めておこうと思いたった。

endless thema -161------ 2023年二月 / アナログ

 

大寒に入る頃、らでぃっしゅぼーや から梅の小枝が届いた。生産者の方が梅の実を

育てるのに剪定した際にでる小枝は、処分する事なく会員に届けられる。

SDGsやアップサイクルにつながる小さな試み。

早々に切り口を少し切り花入に季節を入れた。

 

 

 

 

寒波続く雪日の日々。

晴れ間の朝、つららに朝日が反射しきらきらと輝いていた。

日が昇るにつれ、心地良い雪溶けの音は町中に聞こえていた。

 

 

マンスリーホットラインに載せてもらっていた「人と自然と建築と」のうち、

2007年7月からをプリントアウトしてクリップで止めてある。

ぱらぱらとやっていたが、結構面白くまとめてあると自画自賛。もう少し前の

ものも少しづつプリントアウトしておこうかと考える。

やはり、紙の世代かと思いながらも、ぱらぱらと。デジタルは好きなほうだが、

視覚的なアナログからアプローチする思考からは離れられない。

 

CADは使うが、プリントアウトしては考察を繰り返す。紙の減る気はしない。

チェックやスケッチは紙に鉛筆かマーカーがいい。

紙の上に描き留めるのは職能や資質か。

ペンを握り、小指から小指球が紙に触れる。

鉛筆やマーカーの先が紙擦るとき脳と連動する。

長年に渡り染みついてしまった思考と嗜好。

いらなくなった紙は、ご近所さんと頼んである古紙回収にまとめて出している。

 

毎年度末に提出義務のある「設計等の業務に関する報告書」はコロナ禍という

こともあり前年度提出分からはPDFでメールでの送付が可能になった。

また、建築士事務所登録の更新は、書類送付で行う。

余計なことだが、87年の新規登録以来、昨年初めて事務所名の数字にもふりがなを

振るように言われた。「はちじゅうなな」か「はちなな」かと。

詳しくは聞かなかったが、データー化の入力の為らしい。数字にふりがなは初めて聞く。

英語読みとの識別もあるが日本語的には「はち じゅう なな」と読むが、

あえて「はち なな」と単数字ごとのふりがなで更新した。

 

新聞は朝夕刊とも購読している。

情報はネットのほうが早いが、やはり、ぱらぱらと指から伝わる紙面の感触がないと

寂しいと思いながら、記事に眼をやる日々である。