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nonobe's diaryーArchitect Message

endless thema -164------ 2023年四月その2  初夏のよう / 電波塔

春の日の陽だまりは、気持ちも華やいでくる。二葉葵の鉢を日向に引越した。1鉢は裏庭の鉢棚の上に置いてみた。薄紫の花は少しづつ深みを増す。地植えの白花の二葉葵も咲いていた。

 

 

ホウチャクソウも生息範囲を拡大している。アスパラガスのような芽が出始め、気がつくともう花が咲いている。塀際のシラユキゲシにもネギ坊主のような花芽が出たなと思っているうちに次々と咲いてきた。

 

名古屋テレビ塔(1954年)が、令和4年に重要文化財に指定された。電波塔としては、日本初のTV放送の為の電波塔である。

設計は内藤多仲内藤多仲はこの時期に東京タワーや通天閣をはじめ全国六箇所の塔の設計をしている。

現在は電波塔としてのお役も終了した名古屋テレビ塔は、高さ180メートルを誇り久屋大通りのセントラルパークにそびえ聳え立つ。まだセントラルパークも出来て間もないころの若い頃の記憶が入り混じる。

鉄骨接合部にはリベットが使われている。リベットは焼いた鋲を取付アナに差込、熱いうちに反対側を叩いて固定する為、頭が半球の形をしている。時代を思わすデザインが今も残る。

多仲は名古屋テレビ塔から4年後に東京タワーを手がける。東京タワーの鉄骨は物資の不足した時代、アメリカ軍の戦車をスクラップにした戦争という大過からできていると言う話をこのブログ(バックナンバー endless thema - 105/2015.2 、同149/2021.12 )で投稿したが、名古屋テレビ塔も同じと推測できる。

 

 

ついでにと言うとなんであるが、京都タワーはその10年後東京オリンピック開催の1964年、設計は山田守である

昨年秋のTV番組中( KBS放送 京都画報 )で紹介されていたが、塔の内部構造はこの映像で初めて見た。定期のツアーはあるものの貴重な映像で興味深かった。

構造は厚板の特殊鋼板によるモノコック構造( 応力外皮構造 )が使用されている。モノコック構造はパーツごとを半自動溶接により組み立てられる工法で、主に旅客機などの航空機や電車の車両などを作る技術で造られている。

映像は外皮の一内部であったが、エレベーター若しくは階段の補強材のような部材が映し出され、その鋼材にはやはりリベットが使われ、落下防止棚や外皮の保護材かエキスパンドメタルのようなものが設けられている。

 

京都タワーは整備計画も持ち上がっていると報道されている。定期のメンテナンスは欠かす事はできないだろうことだが、流石にその仕上がりの良さと滑らかな曲線は美しい。

西陽に映し出されたタワーは京都駅ビルのミラーガラスに映り込み、自然が創り出す空の変化に揺らいでいる。