人と自然と建築と

nonobe's diaryーArchitect Message

Vol.63「endless thema - 58」(11年03月)

 

-------技/道具の修理

 

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ツルハナナス

 

 

少しだけ穏やかな気候になってきたが、
朝夕といいもう少し冷え込みがつづきそうだ。
雪の舞っていた時くらいからだったか、
なにやら白いものが出来始めたと思っていたツルハナナス。
小さな花が咲いている。
クリスマスローズも咲き始めた。
我が家のクリスマスローズは紫色から咲きはじめる。
もうじき春。

 

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クリスマスローズ

 

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クリスマスローズ

 

卸金を目立の修理に出した。 工具があって何度となくこなせば、
家使い程度なら自分でも多少は出来るかもしれない。
使用頻度にも依るだろうが七〜八年に一度ぐらいだろうか?
もう少しだろうか?
記憶の薄れるくらいの頻度であることでもあり、
腕のある職人さんにお願いするのが確かだろう。

 

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卸金

 

 

京都錦市場の中にある「有次」ではここで購入したもの
はほとんど修理してもらえる。
使用頻度にも依るのだろうが、
目がすり減りすぎると目立の回数は減るのだそうだ。
もっともな話だ。何でもそうだが早い目のメンテナンスは必要だ。
卸金の目立には一ヶ月程かかる。
きっと滑らかなすりごごちになって返ってくることだろう。

 

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きぬはさみ

 

ここで女房が形の良い和バサミを見つけた。
「きぬはさみ」と言う裁縫用の小型の和バサミで90mm程のハサミだ。
良く見かけるものに比べ刃先が長く形が良い。
大きさは違うが同じものをカウンターの向こうで研いでいるのが見える。
どなたかが刃先を研ぎにご来店のようだ。
微妙に擦れ合う二枚の刃先を研ぐのは試練の技だろう。
家で使う包丁ぐらいは私が研ぐ。(バックナンバー2009.09)
最後どうしても研ぎ残しのようにカエリができ、これがなかなかとれない。
で、聞いてみた。
「水を十分につけた状態で研ぐととれますよ。」
なるほどそういうものか。
ここでは包丁研ぎ教室も開いている。
腕のあるものが研ぐのとでは雲泥の差であろう。
入り口を入ってすぐの左手に茶筒が置いてある。
金属系の茶筒の蓋は、軽く置くだけで自然にゆっくりと、自重で下りていく。
職人さんの腕の見せ所でもある。絶妙である。

 

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辻和金網

 

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炒り網

 

堺町通りの二条を下がっていくと「辻和金網」というお店がある。 ガラスの向こうでは金網を組んだり編んでいる職人さんが見える。 銀杏をあぶる道具や出汁をとる網や茶こしなどをつくるのである。 私の事務所が以前この辺りにあり、散歩の途中、ウインドウ越しによく覗き込んでいた。 熟練した技はついつい立ち止まらせてしまう魅力がある。 こういう仕事の大切さを感じる。勿論修理もしてもらえる。 日本の美しいものは沢山ある。 残していかなければいけないのは特殊な特定の技術ばかりだけではない。 日常的なものの中にある技があってこそ、その先がありその向こう側もある。 そして、その大切さに気づいていく心も、育てていく必要があるのではないのだろうか。

 

*****

 

Vol.62「endless thema - 57」(11年02月)

 

-------つらら/屋根神

 

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つらら

 

今年は冷え込みが幾分きついような気がする。
今朝は前夜までの雪で窓の外は真っ白。
空だけ青い白い空間は透けるような澄んだ空気で気持がいい。
大きく深呼吸して肺の奥深くまで吸い込みたくなる。
屋根の樋には大きなつらら。
陽が昇り、気温の上昇とともにぽたぽたぽたぽた溶けていく。

 

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正月祭

 

正月に実家の氏神さまのある浅間神社に参拝に行った。
丁度、世話役の氏子さんたちに依る元旦祭が行われるところであった。
「お時間があれば、ご一緒にどうですか。」と、声をかけていただいた。
今までこんな機会に遇う事がなかったが、
お言葉に甘えご一緒させていただくことにした。
新年早々からのうれしい出来事に元気をいただいた感じがした。

浅間神社は四間道(しけみち)と呼ばれる道幅四間程の道の中橋側にある。
正保四年(1647)に遷座され現在に至っているそうだ。
小さな神社だが境内には樹齢300年は超える
くすのきやケヤキがところ狭しと育っている。

今でもこの辺りは古い町並みが残り、
四間道街道筋は町並み保存地区に指定されている。
ぶらぶらと町並みを散策しながら帰るのだが、
屋根の上にはお社が建っているのが見られる。
名古屋独特の風習で「屋根神」が今でも残っている。

京都では町内を守るお地蔵さんが祀ってある小さなお堂がある。
お地蔵さんは地蔵菩薩であり仏様で建物は仏堂である。
名古屋の屋根神さまは名前の通り神様であり、お社は社殿である。

 

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五条橋屋根神さま

 

「清須越」により名前とともに移築されたと聞く五条橋。
今では新たに架け替えられているが、
円頓寺(えんどうじ)通りの堀川に架けられた橋だ。
そのたもとにもお社がある。
欄干脇の橋のたもとにあるお社は屋根の上ではなく、地上に下りていらっしゃる。
私の幼い頃からここにあったように記憶している。
移築された時から今の場所に在ったかは、
さだかではないが、れっきとした屋根神様である。

清須越によって造られた名古屋の町割りはほぼ規律正しい。
今は新住所となっているが、旧何何町といわれるほうが分かり易いこともある。
名古屋城下、那古野幅下地区の下町にも古い伝統的建造物がいくつか残っている。

浅間神社の西方、子守り地蔵尊の路地の入り口近くにある屋根神さま。
立派な唐破風の屋根のついたお社だ。
御本坊筋にある旧家中村家の屋根神さま。
中村家は、江戸時代の面影の残る商家である。

 

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子守り地蔵前の屋根神さま

 

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中村家屋根神さま

 

町並みをぶらぶらしながら屋根神さまを見つけながら歩く。
徳川家「清須越」から400年。
元禄十三年(1700)に大火があったとはいえ、
名古屋の城下町には特徴のある風景が今も残る。
機会があるごとに探ってみたい。

 

*****

 

Vol.61「endless thema - 56」(11年01月)

 

-------賀状/2011

 

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ベンジャミン

 

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クリスマスローズ

 

 

普段は庭に出してある鉢植えのベンジャミンやアジアンタム
寒さに弱い鉢植えを冬の間だけ部屋のなかに移す。
重い腰を挙げてやっと冬支度を澄ませた年の瀬であった。

天井に当たるくらい大きくなったベンジャミンの移動は大変。
ただ重いと言うだけ出なく、鉢からはみでた根が地面に張っている。
寒暖の差もあるのだが、これを上手く処理しないと途端に葉が落ち始める。
ある程度の根を残し鉢受けのトレーにうっすらと水を張るような感じにしておく。

我が家のベンジャミンは挿し木から育ったので、
街角の花屋さんで売られているような幹を三つ編みにしたぼんぼり風と違い、
樹形が自然の形をしている。すこし暖かくなるまでは部屋の中。
お陰で部屋の中も多少はウエットな感じ?

外ではクリスマスローズの芽が大きくなって来た。
まだ小寒い時期に咲きはじめ、三月初めまでは咲いているだろうか。
花芽が少しづつ少しづつ大きくなっている。

 

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唐破風

 

 

毎年、賀状は二~三種類作っている。
そのうちのシリーズで、その年の干支にちなんで古建築の語彙を紹介している。
今年はうさぎということもあり「兎毛通/うのけとおし」。
切妻や入母屋の屋根の妻側にある破風という
板に取り付けられた懸魚と呼ばれる飾りのことである。
なかでも唐破風という曲線で出来た屋根の破風板に付けられたものを兎毛通という。

 

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兎毛通

 

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兎毛通

 

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兎毛通

 

 

兎毛通の形の多くはハート形をした彫り込みのある猪目懸魚であるが、
彫り物としての兎毛通もある。
あまりにデコレイティブなものは好みではないのだが、
力強く、伝統的建造物としての象徴的ではあるが形はシンプルであるが
優美なデザインのものもある。

 

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懸魚と降懸魚

 

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兎毛通と桁隠

 

 

懸魚は使われる場所によって呼び名も違う。
拝みと呼ばれる破風と破風の合わさった一番高い棟の位置に付くものを拝懸魚。
その拝みから下がってきた桁のあるところに付く降懸魚。
それと唐破風に付く兎毛通と呼ばれている唐破風懸魚がある。
兎毛通の名前の由来はよくわかっていないらしい。
そして唐破風の左右にあるものを桁隠と呼ぶ。

唐破風は鎌倉期に現れたもので、法隆寺聖雲院の厨子に見られる唐破風が、
現存する最古のものと言われている。
「唐」とはつくが和様の建造物の様式である。
緩やかなのびのびとした美しい唐破風が視られるのは室町時代あたりまでだろうか。
近世になるにつれ、力強いボリューム感のある姿に変化していく。

干支を含んだ語彙はそうはないのだが、
あればその年の賀状の古建築シリーズにしている。
作る賀状の種類は増えるが、年の瀬の賀状作りの楽しみである。

 

*****

 

Vol.60「endless thema - 55」(10年12月)

 

-------風景の予測

 

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ヤブコウジ

 

寒さも一段と深まり、鉢植えのヤブコウジの実が赤みを増して来た。
碧々とした葉に合い混じり色味を帯びた葉と赤い実が、
冬の到来を告げるかのようだ。
椿のワビスケのつぼみも大きくなってきた。
生け垣のサザンカも少しずつだが咲き始めている。

 

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ワビスケ

 

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サザンカ

 

何日か前に北山の橋を歩いていたとき、
川面に鴨が沢山いるのが目に止まった。
よく見ると、川のなかには大小の鯉も群れていた。

それをふと思い出しデジカメ片手にぶらりと出てみた。
場所や時間にも依るのだろうが、川には沢山の鴨が群れている。
川のなかには大きな鯉が泳いでいる。
以前に水面から水しぶきを上げ何やら大きなものが飛び跳ねたのを視た事があるが、
間近で泳ぐのを視て初めて記憶が繋がった気がした。
黒いのでよく見ないと分からないが、
なかには70センチ以上はあると思われる巨大な鯉も泳いでいる。

 

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その脇の河原で公園施設の工事がおこなわれている。
南から徐々に北へと進んでいるようである。
元のなつかしさを感じる風景から作られたものへと変わろうとしている。
それは真新しさへの違和感を覚える。
来年度も鴨川護岸整備に府の補正予算の大幅アップが議会に提示されたらしい。

先に、河川の安全性や維持管理をを基本とした整備に予算が費やされ、
後に公園等のビジュアル的な整備に使われるのが筋だが、
方図もなく真新しくされた芝生や植樹、散策路そしてベンチなどが先に目につく。

 

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護岸

 

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護岸

 

工事が終った数ヶ月後には、過去の記憶は薄れ新しい風景が
ずーっと以前からあったかのように思うようになり、
前の風景は記憶のどこかに埋もれてしまう。
問われない限り、人が持つ古きものへの安堵感はそれを許容する。

 

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護岸

 

それを思えば公園施設の整備がなされていく事が良いか悪いかは別として、
必ずしも否定されるようなことではないのかもしれない。

知らず知らずのうちに自然となじみ行く風景は、歴史に刻まれていくのだろう。
幾年という月日が流れ、作られた木立が育ち、
ベンチや小径が自然と経年変化をしていくなかで
「真新しさ」という意識は無くなっていく。
出来あがった時の姿をそのまま維持していくだけのために
繰り返されるメンテナンスは好ましくない気がする。
建築も同じ。
数十年が過ぎ、経年変化により美しく老いていき、
当たり前の風景となっていってほしい。

「真新しさの違和感」というのは、良い意味でも悪い意味でもなく、
廻りになじんでいないというだけの感覚だ。
時が経ち「新しい」から「落ち着いた」に変わっていけば
余程劣悪なものではない限りはそのことを意識することはない。

逆に言えば、いかに旨く年をとらせていくかという予測が必要だ。
この予測こそがものの善し悪しを決める手だてではないだろうか。
と言いつつも「整備されすぎたものへの違和感」は記憶から拭いきれない気もする。

 

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Vol.59「endless thema - 54」(10年11月)

 

-------潤子さんの石鹸

 

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糸瓜

 

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糸瓜

 

先月らでぃしゅぼーやから珍しいものが届いた。
以前(2009.10月号)にも書いた事があるが、
百菜百選と言うシリーズの品が時折届く。
今回は金糸瓜(きんしうり)が届いた。
ぺぽかぼちゃという種類で、そうめんかぼちゃとも呼ばれている。
厚めの輪切りにして茹でると果肉が糸状のそうめんの様にとれることから、
そうめんかぼちゃと言うらしい。
近頃では市場に出回る事はめったにないという。
味はと言うと非常に淡白で、シャキシャキした歯ごたえを楽しむものらしい。

これからの季節、寒さが徐々に増し、空気も乾燥してくる。
年ととも?に寒くなるとやってくる冬の乾燥肌。
そして春先からは花粉症と不快感を感じる季節がつづく。
何かに体が反応する時季は市販の石鹸を使うとどうも刺激が強い、
そのためか鼻がつーんとするように感じる。

 

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石鹸

 

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石鹸

 

それで我が家では、友人の田中潤子さんに手作リの石鹸を分けてもらっている。
石鹸はオリーブオイル、ココナッツオイル、パームオイルや
カロチーノなどが主材料で、牛乳ベースの牛乳石鹸
チャイマサラやチョコレートの入ったもの、
それに加えてラベンダーやはっか、オリジナルブレンドしたハーブティ、
ハチミツなどを組み合わせて作ってある。

今回分けてもらったなかでは、
牛乳石鹸のラベンダーとはっか入りのシンプルなものが気に入っている。
どの石鹸も皆すっきりとさわやかな感じであるが、
なかでもラベンダーとはっか入りの牛乳石鹸は、使用後のさっぱり感がいい。

市販のものにありがちな使った後の突っ張り感もきつい匂いも少なく、
しっとりとした感じで肌を和らげてくれるのはありがたい。
そして、ほのかなラベンダーの薫りが安堵感を誘う。

 

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ブラックベリー

 

潤子さんは多才な人で、このマンスリーホットラインの2007.4月号で
ご紹介したような庭園のデザインもすれば、絵も描く。
写真の絵はポストカードにして頂いたブラックベリー
そして帽子も作れば洋服の制作からリメイクもし、
2009.1月号でご紹介したクリスマスの人形劇の人形まで作ってしまうのである。

そろそろ今年もクリスマスの人形劇の準備が始まり忙しくなるのだそうだ。
今年は「うりこひめとあまんじゃく」。
面白そうだ。

 

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白ほととぎす

 

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ほととぎす

 

庭のホトトギスの芽が赤みが増して来たと思っているうちに咲き始めた。
数カ月程前に購入した白いホトトギスが一芽だけだが咲いている。
まだ小さく今年は無理かと思っていたのだが、背丈十数センチほどで花芽が出来、
日増しにふくらんできたと思っているうちに咲いた。
今年ももうそんな季節になって来たのかと感じる日々である。

 

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Vol.58「endless thema - 53」(10年10月)

 

-------十月です/最先端のLED

 

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クモの巣

 

暑さに拒まれ庭の手入れを怠っていたが、
気がづくとクモの巣があちこちに出来ている。
風に乗って来たり、門灯に誘われてか、小虫が囚われの身となっている。
生け垣の芽も伸び先端にはアブラムシが、
そして案の定アリがやって来て上がったり下がったり。
相変わらず働き続けているアリ。
「休まないとバテますよ」って声をかけたくなる。
今朝は突然の雨。窓から見えるクモの巣も勢い降った雨に
糸が切れ風に揺れている。
晴れたらきっと修復が始まるのだろう。

あれから数日、クモは巣の修復もままならぬうちに別の場所にお引っ越しのよう。
クモは糸を張ってエサとなる小虫が飛び込んで来るのをじーと待つ。
クモは超スローライフ

先立て、電球型のLED電球をコードペンダント用にと購入した。
器具の口径があえば、普通の電球と同じように取り替えが可能だ。
将来的には主流となっていくのだろうと言われているLED電球。
耐久性から来る価格面、消費電力や環境に
配慮されていると言われているのだが・・・。

 

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LED

 

LED電球は、ご覧の通り少し気になる形状をしている。
電球部分にソケットの部分が覆いかぶさるかのような形をしている。
そのため上方への光量不足により、光の方向性が生じてしまう。

上方面にも反射を期待するコードペンダントに
シリカ電球とLED電球を差し替え取り替えて比較してみたのだが、
LED電球は下面への照度は増してはいるが、上方に光がいかないために、
シリカ電球に比べ空間としては薄暗い感じを受ける。
上面への光の反射やシェード全体を明るくするタイプでは
どれも上方への光量が少なく同じ現象がおこる。

 

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LED

 

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LED

 

 

薄暗いと言う感覚は、下面への光量が多すぎ
上下面への光量のバランスが悪い事によりおこることが多い。
その為かシリカ電球のような空間全体を包み込むような
穏やかな感じの明るさはない。
また、明るい反面グレアーが強く、
光源は眼に刺激的で多少クールな色合いである。
一般的なシリカ電球は上下左右共全体的にバランスがいい。
勿論、シェードのデザイン自体の問題もあるだろう。

LED電球は出っ張りの少ない天井面に直に付けるシーリングや
埋め込みのダウンライトなどには効率が良く効果が期待出来そうである。
それに電球型意外の型ではどうなのだろうか気になるところだ。

使ううえでは多少不満もあるが、話ではおおよそ10年ほどは球切れはないらしい。
あくまでメーカーの予測的数値だが、球替えの必要がほとんどなくなるのは有難い。
とりあえず付けてみたが思いと差があり、どうするか思案中である。
最先端をいくLED電球であるが、
使うにあたって思わぬところで足踏みを強いられた気がする。

 

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ミズヒキソウ

 

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オニヤンマ

 

 

このごろ暑さもやっと峠を越え、例年並みとなって来た。
空はすっかり秋色のうろこ雲。ミズヒキソウの小さい花も今が咲きどころ。
どこから飛んで来たのか、壁にオニヤンマらしきトンボが休んでいた。
今年最後のひとっ飛びとなるだろう。

 

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Vol.57「endless thema - 52」(10年09月)

 

-------おいしいです/チョコレートドリンク

 

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ふうりん

 

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せみ

 

夏は風鈴を吊るしている。
窓を開け風が通りチリンチリンと。音が暑さを和らげてくれる。
夏の朝、網戸越しに動く風は微かに風鈴の旗を揺らす。
生まれたての蝉が網戸をよじ登っている。
木の上ではお兄ちゃん蝉がジージージージーと鳴いている。
相変わらずの夏の出来事である。

 

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ハコネキク

 

玄関先では小さなハコネギクも咲いている。
今年は猛暑を通り越して酷暑と言うのに健気に頑張っている。
九月ごろまでは咲いているだろうか。

 

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chocolat

 

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辰巳夫妻

 

 

知人の写真家の辰巳さんが小さなお店を始めた。
今年春先にこっそりオープンした。
いつオープンしたのか?でもずーと前からあるみたい。そんな感じ。
以前に話を聞いていたこともあり、ちらっと立ち寄ってみた。
チョコレートドリンクが売りであるがメニューは他にもいろいろ。
各種のシュークリームやカカオの芳醇な旨味を残し
湯煎しながら焼いたチョコレートの焼菓子。
その他にもチョコレートを使った焼菓子がいろいろ。
テイクアウトが主だが、ちょっと立ち寄って汗がひくまで小休止も出来る。
但し、2シートしかなくお客さん自らが
ショウウインドウを飾る?というシチュエーション。

辰巳さんは建築写真の撮影が主な仕事。
お店にはご自身の撮影した写真のアルバムが何冊か置いてある。
私も時折仕事をお願いしていて、
その写真も数カット店内のアルバムにも掲載してもらっている。

お店ではいつも奥さまがお手伝い。
ドリンクやお菓子を作るのはもっぱら旦那の辰巳さんとのこと。
どれもオーナーらしい繊細な感じがする。

 

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chocolat

 

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メニューボード

 

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ケース

 

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ショコラ

 

 

チョコレートドリンクは東京あたりでは案外メジャーだが、
京都ではそれ自体あまり知られていない事もあり本格的な店は少ない。

カカオの風味をそのまま。
ちょいと立ち飲みも良し、座ってほどほどにくつろぐも良し。

 

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お店の名前は「chocolat」/Phone 075-200-7238
場所は、京都円町の交差点から西大路通りを上がって二つ目の信号の南西角。
すぐに分かる白いファサードとショウウインドウ風のガラス窓が目印。
ストレスを溜め込まないうちに、カカオ・ポリフェノールの補給をどうぞ。

 

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