人と自然と建築と

nonobe's diaryーArchitect Message

Vol.41「endless thema - 36」(09年05月)

 

-------マップケース

 

早いもので今年もゴールデンウィークがやってきた。
事務所の移転先はまだ検討中である。
自宅の庭先ではシラユキゲシが咲いている。
鉢植えだったシラユキゲシが庭先に腰を降ろしたようだ。
陽あたりが悪いせいか少し遅い開花の気もする。
といっても、もうぽかぽか陽気、ホウチャクソウタイツリソウ
キンリョウヘンやタツナミソウも大きくなって来た。
それに芽が出始めたエビネ
あっという間に大きくなる。庭も暖かくなると元気になってくる。

 

p_nono0905a-f

 

 

p_nono0905g

 

事務所の図面整理に使っているマップケース。
タテ1メートルヨコ2.1メートルのテーブルの下に
A1サイズで3段分のスペースを確保してあり、
下段はオープンで色々なサンプルやカタログなどを置いたりして
テーブルの足がわりにしてある。

 

p_nono0905h

 

引き出しは、主に図面や資料などの紙のものを
整理保存をするために木製にしてある。
フレームや仕切りはアガチス、
正面の化粧板はサクラの無垢板をつかってある。
平成八年にここに越して来たときにつくったので、
かれこれ十三年程経つ。
テーブルの天板とマップケースの箱自体は
パーチクルボードにフレキの化粧シートを張ってある。

フレキシートは柔らかいためあちこちあたって傷が出来るが、
下地がパーチクルのためか壊れたり変形などはほとんどない。
ただ、天板は少し反りがある。
それは裏面の仕上げが榀(シナ)の素地で
納品時に気がつき当初から反っていた。
いくらパーチクルといえども板厚は23mm程の薄さで
このくらい大きい面積ともなると反りが出る。
今のところそれ以上の変形はないがこのへんは
気を使って造ってほしいものである。
これくらいの大きさのテーブルであれば多少の作業も楽々でき、
いろいろなシーンにも対応でき使い易い。

 

p_nono0905i

 

引き出しにはつまみや引手はつけないで、
引き出しの下部に指あたりをつけてあるだけのシンプルな形である。
紙の重さが結構あるので、引き出しの両サイドには
スライドレールをつけてあり、ベアリングのレールに適度に
ブレーキがかかるので引き出しの動きは結構気分がいい。

天板を支えるもう一方の足は、L型を二つ組み合わせた
デザインにしてありパーチクルボードに1.5mm木口は3mm厚の
ピーラーの単版を張ってあるので木口も自然な感じで無垢材に見える。
ピーラーは時間とともに赤みがさし、全体に深みのある色となってきた。
私はこの足が結構気にいっているのだが
レイアウトの関係もあり見せる方向にないのが残念であった。
事務所の移転の際にはマップケースを別置きにして、
両側をこの足のデザインにしたテーブルにと思案中である。
出来れば足が見えるレイアウトが出来ればいいのだが。
マップケースのほうも、下段が両面使いでサンプルや
カタログを入れるようにしてあるのでレイアウトには
やはり一工夫いりそうである。

 

p_nono0905j

 

何故、軟らかいフレキシート?
それは、触れたとき多少デコラよりは冷たさもなくやわらかい質感で、
キズの問題よりもむしろこちらを優先してある。
確かに固いものがあたると角がへこむ。
それにボールペンなどを使うと下になにか敷かないとあとが付き易い。
他にフレキを使用する理由は、出来るだけピン角にしてデコラや
化粧合板の出隅のカット面にできるブラックラインの消去という考えである。
コストを考慮しなければ小口は厚みのあるコア材を使用すれば解決するが、
どうしてもそのコアの厚みが出てしまうのと
カット面になるのを避けるためでもある。

 

p_nono0905k

 

他から見れば×となりそうな事でも、
優先順位の理由がはっきりすれば◯となる。
こだわりの美学という訳ではないが
何故こんなにも設計事務所というところはこだわるのか。
などと思いつつ、試行錯誤を繰り返しながらモノ造りをする日々である。

 

*****