人と自然と建築と

nonobe's diary

endless thema -134------五月/初夏の麗らかな喧噪

 

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いただきものの黒落花生。薄皮が深い紫色をしている。

紫色をしているのは、ポリフェノールが豊富らしい。

薄皮ごといただくと、香ばしい香りが鼻から抜ける。

 

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裏庭の青紫のミヤコワスレは先月下旬に咲き始めた。

毎年、白も青も同じ頃に咲いている。

今年はゴールデンウィークを境に白が後れて咲いた。

澄んだ白菫色のミヤコワスレは、群れるシラユキゲシの狭間に静かに咲く。

白のセキチクもつぎつぎと咲き、足元ではヘビイチゴの黄色い花も咲き始めた。

いままで、かじったことは無いが、赤く熟したら‥‥かも。

 

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カマツガの枝先にクロアゲハが休んでいる。

玄関先のレモンの木のあたりをふわふわと浮遊していたのを幾度も見た。

夏型のクロアゲハは大きいと聞くが、羽根の揺れ方がやさしい。

喧噪と春暖な穏やかさの残る裏庭である。

様々にゆきかう麗らかさからは、移りゆく季節を感じる。

endless thema -133------April come/隅櫓

 

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April comeとは言っても、ゴールデンウィークも間近に迫ってきた。暑さが際だち始め、シラユキゲシの合間からはミヤコワスレも咲いている。前庭では花山椒の花が咲いている。さわやかな初夏のおとずれのような匂いがする。

 

丁度一年程前、名古屋城本丸御殿の二期工事の公開見学の際、城郭内の西北隅櫓も公開していた。城内に現存する重要文化財のうちのひとつであり、立て札には「古名は戊亥櫓。清洲城天守を移築したと伝えられ、清須櫓とも称された。昭和三十九年の解体修理により、古い建物の材木を一部用いて元和五年(1619)頃に造営されたことが明らかになり、清洲城天守の古材を転用した可能性が高まった。屋根三層・内部三層で、全国でも最大規模の隅櫓である。」と書かれている。

 

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内部の柱の上下階の通りのずれや、壁の位置の上下階で揃っていないことで生じる城郭の木構造のおもしろさが、随所に見られる。天守から比べれば櫓は小規模であるが、露出した部材からはそのスケールの大きさに圧倒される。そのあたりを見られるのは天井のない見上げあげでよくわかる。櫓としては立派な姿で、外堀の石垣の上に建ち当時の姿を今に伝えている。名古屋城では天守閣の木造化計画が進んでいると聞いている。木造化に伴う諸問題は多々あろうかと思われるが、日本の伝統的建築である城郭の木造技術の継承ということから考えると重要な試みだと思える。

現実化し、工事をしながらの公開見学は尚更のこと楽しみである。名古屋城本丸御殿の一期工事はバックナンバー/endless thema -88 で書いたが、本丸修復の全体工事の完了は今年の予定ということで見学する予定である。こちらも楽しみである。

 

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前回も書いたが設計事務所の大半の仕事は考えることでもある。その思考を支えるのが巨大な資料であるが、仕事場にある未整理となった山のような資料からは、視界に入る度に整理整頓を即される。

二階の和室にはブラインドの操作紐に付けられた六角のアクリルのつまみが朝日に屈折して床に虹色を映し出している。プリズムのような効果から映し出された一対の虹色は、少しづつだが窓辺に近づき、日増しに陽が高くなって行くのが感じられる。

endless thema -132------賀状/建築語彙

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暮れには生け垣のサザンカがたくさん長く咲いていた。白い大きな花びらは冬に似合う。初月の日。庭の植木に水やりをしながらはく息が白い。呼吸が気持いい。クリスマスローズの蕾が大きく育ってきた。八重のツバキの葉には随分と前からカイガラムシが繁殖し葉に白い点々のようなものがついてしまった。ぼろ切れで拭いてあるのであとは予防剤をスプレーしておけばもう付くこともないだろう。下のほうからは蒼葉もでている。見た目が悪くなってしまったのは少し残念だが、遅咲きのツバキは来月末ぐらいには咲き始めるだろう。楽しみである。

 

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毎年の賀状には、干支に因んだ建築の語彙を使っている。

今年は戌で犬防木 inu-fuse-gi 。内と外を隔てるようなイメージの物を類型的に現す言葉である。堂宮などの伝統的建造物の御堂や社の蔀戸の下の結界の柵、文化財の一般公開などで立ち入り禁止の明示に置かれる低い柵などを総称する。町家の犬矢来や駒寄せなども犬防木となる。

京都御苑の御所の南側にある切妻平入の建礼門に設けられた柵、奥に見える承明門の朱色に塗られた木部が視線に交わり美しい。東側の唐破風の建春門に設けられた柵は唐破風の重なりあう蛇腹板の木口の赤みや飾り金具からか華やかな印象をうける。連続

性と陰影が造り出す映像は適度に長い程に強調される。連続性は建築を表現する一要素でもある。

 

 

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京都御苑の清和院御門を入るとすぐに置かれている犬防木の柵。車止めに置かれいるのだろうか。清和院御門の東北に位置する梨の木神社の拝殿の階段に置かれた柵。しっかりとした造りで隔てる。大覚寺客殿の広縁の犬防木。障子と格子の連なるさまは、適度の緊張感で内と外を隔てている。

 

時折りバックナンバーでもご紹介していますが、干支に因んだ古建築の語彙は思いのほか少ない。枠を広げて選択していくか前出使用可とでもしていこうか思案中である。

 

endless thema -131------LED

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我が家の照明器具の取り替えは越してきて以来となる。玄関の門灯や台所や洗面の照明器具をLED仕様で新たにした。瓦屋根に格子戸のある外玄関で、雨掛かりのない軒下にODELICのガラスシェードのものを付けた。きらっとしたミニクリプトン型のLEDの光源はガラスシェードの模様に反射して、町家のイメージとは少し違う不思議な懐かしさもあり面白い雰囲気である。大工さんには取り付け用の木材に少し凝った細工をしてもらった。お任せ仕上がりで正面の中央の面だけに、なぐり風の仕上げにしてある。檜の白さが際立つこともありエゴマオイルを摺り込む。自然な風合になるよう何度か乾いたら塗り重ね、old&newのコントラストを楽しむ。

 

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台所にはDAIKOのLEDの組み込まれたユニットのものを使ってみた。小振りで角形のシンプルなデザインで、アクリルカバーが視線に入る光源を和らげている。カバーには光源の映り込みもさほど無いが角形のためエッジの部分に均一差が残る。アクリルカバーに納まっていることも有りきらつく眩しさもなく全体が明るくおだやかに照らしなかなかいいようだ。天井から出た梁を躱し、天井に付ける端子台の入るフランジのヨコから現場で穴をあけコードを接続している。穴に取り付けたゴム製の部品は何かの部品らしい。電気担当のA氏の前向きな向上心に感謝である。埋め込み式のリモコンのスイッチのセンサーも併設した。天井ふところの少ない町家で埋め込み式が入るか心配だったがうまくでき使い易くなった。

 

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洗面のカガミの上にはリネストラからODELICの一体型LEDのタイプに取り換えた。小型の割に驚く程の明るさで、丸形アクリルカバーのためかムラもほとんど無い綺麗な器具である。

 

LEDは使用状況にも依るのだが、ほぼ10年ほどの光源寿命をもつ。先々それまでこのユニット化した器具が有るのかは疑問視される。しかしながら、その使い方に幅もでてきた気がする。薄型の一体型もあり、今まで設置が不可能と思われるような場所にも考え方次第で取り付けられる機種が数多くでている。3月18日の朝日新聞には直管型蛍光灯の球替えに伴う点灯方式の違いに依るLEDの発火事故の記事が掲載されていた。蛍光灯器具の点灯方式に適合したLEDの選択が必要となり、少しの注意を要する。LEDはスイッチを入れると瞬時に点灯し、蛍光灯の様なチラツキの無いのがいい。よりコンパクトでやさしく明るくムラのない器具の開発に期待したい。

 

endless thema -130-----ブログに引っ越しました。

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「マンスリーホットライン」が終了し随分と月日が経ってしまったが、ブログに移行しこれまでと同じテーマで進めて行こうと思っている。裏庭のホトトギスは未だに咲いている。久しぶりにやってきたルリタテハ。最後の蛹が羽化し羽を広げている。

 

校友会の小冊子から書き始めた「人と自然と建築と」。あれから幾歳月が経ったのだろうか、未だに軽妙な文章はなかなか書けない。と言っても自分なりのmessageは伝わるだろうと思い、こころ新たに進めて行くことが寛容なのだろうと考えている。

設計事務所を主催し30年が経った。設計事務所の大半の仕事は考えること。紙と鉛筆そして記憶媒体があればいつでもどこでもできることが多い。勿論なくても四六時中考える。既固定概念にとらわれることのない思考と創造。技術だけではなく、そこにある空気や匂いや質感をどう表現できるかが重要なことのように思う。

 

六月始めに更新の予定であった。突然、ネットに繋がるパソコンに異変が起こり、結果買い換えの決断に至った。そして、今やっと気持ちも平常に戻った。戻ってみると普通が一番いいと感じるこの頃である。書き上げてあった本編は修正して近日中の更新と思っている。

Vol.134「endless thema - 129」(17年02月)

-------二月・最終回ですが、つづきます/空気感

 


雪どけの音

年明けの寒の内、小寒水泉動のころに京都でも雪景色になった。
雪の白さは日差しに反射してきらきらしている。
しんしんとした雪音は、日が昇り、次第に雪どけの音に変わってくる。
マンスリーホットラインの endless thema は129編となった。
他にworks が二編と建築家シリーズが三編とで
「人と自然と建築と」は134回の連載になった。
校友会設計同人の小冊子「れんじ」から書き始め、
今回マンスリーホットラインでは最終回となったが、
いつもと変わらず、毎回と同じ書き方でmessageとしたい。



京都宇治にある平等院の話はバックナンバー2014年12月号に鳳凰堂のこと、
そして2015年1月号でも少しふれ、
平等院には国宝の鳳凰堂の近くに
宝物館ミュージアム鳳翔館という建物が併設している。
鳳翔館は栗生明の設計で2001年の開館である。
生い茂る樹々で緑の多い境内であろうが、
異種の用途で異なるざわめきもあることだろう。
大半が地下にある建物で地階からのアプローチになり、
出口がグランドラインとなる。
まだ鳳翔館に訪れていないが古建築と洗練された
モダンな鳳翔館との狭間にはどんな空気が流れているのか。
そして鳳翔館に導かれたエントランスに立ったとき、
そこから見える風景からは何が見えるのだろうか。」
と、書いた。



鳳翔館南門側からのアプローチ

鳳翔館エントランス

その鳳凰堂と鳳翔館との空気感を見てみたく拝観することにした。
昨年の木立がまだ黄紅葉のころ、
車で国道 24号線をひたすら南下し、門前の駐車場に車を止めた。
南にある門前からは、あじろぎの道を北に行き北側の表門から境内を散策し、
池を回り鳳凰堂正面をとおるアプローチが望ましかったのだが、
そのまま南門から入ってしまった。
視線の先には鳳翔館の地上部、つまり出口側にあたる。
右手に鳳翔館を見ながら伏見桃山城からの
移築といわれるアカガシで出来ている旧南門を入り、
境内西側から鳳翔館の入り口にたどり着いた。

確かに阿字池を介して浮かぶ鳳凰堂の風景とは違う空気感。
今から始まろうとしている静かな期待感である。
鳳翔館の正面の壁には視線の位置ほどのところに
「鳳 翔 館」の文字が取り付けられている。
近づくにつれ視線は壁に添って自ずと細長い廊下に導かれる。
常設展示の空間には、平安の伸びやかで巧みに造られた、
雲に乗る雲中供養菩薩像や一対の鳳凰が間直で見られる。



鳳翔館レストスペース廻り

配慮されている府道側へのビュー

鳳翔館出口付近の長い大きな階段

出口側グランドラインとなるミュージアムショップ周辺には、
リファレンスコーナーの設置や
レストスペースなどの遊び心のある空間が設けられている。
大屋根の空間の下に設けられたレストスペースは
アウトドアだがインドアのようにも感じ、そのファジーさは居心地がいい。
南側門前の府道への視線など当然のことだが配慮されている。
アーバンな感じと日本的とも思えるこの現代建築の空間は
暫しのやすらぎを覚えるような時が流れている。
そして「建築物は裏表をつくらず。」のとおり、
入口出口表裏問わず、高低差を利用し巧みに計画されている。

レストスペース廻りの空気感も然ることながら、
古建築と現代建築の狭間の微妙な空気感はmajor 7 の和音のようだ。
三音+1音で表現されるこの不思議で美しい和音のように、
そして majorとminorが共存したゆれうごく音の狭間で
互いに呼び合うような透明感があるように思えた。



ハゼの黄紅葉

次回からは、ホットラインさんにお世話になりブログで、
不定期にはなるだろうが続けていくことにした。
テーマは同じ「人と自然と建築と」。(http://nonobe.hatenablog.jp)
窓辺に置いたハゼの葉がやっと黄紅葉し始めた。
毎年ならとっくに落葉しているのに自然は不可思議であるが、正直でもある。
ロン・カーターのアルバム「THE GOLDEN STRIKER」を聞きながら、
温かいアールグレイでも煎れてひといきといったところか。

 

***

 

Vol.133「endless thema - 128」(17年01月)

-------始まりの月/鳥衾いろいろ

 


我が家の前庭のシロワビスケは暮れにはまだ間もある頃に咲き始めた。
気がつくと少しだけ静かに咲いているワビスケだったのだが、
いつもよりおびただしく思うほどに白い花をつけている。
ラッパのような咲きかたで全開しない控えめなワビスケ
中央の黄色のおしべも整然と密集して形もいい気がする。
気候の為か早くからにほやかにほほえむように咲いている。

今年の干支は酉。毎年の賀状にはその年の干支名がつく建築語彙を紹介している。
今年は屋根の鬼瓦の上に乗る鳥衾/とりぶすま。
鳥休ともいう突き出た円筒形の瓦である。
短めでほどよい反りから長くそして反り上がり誇張された形状のものまで形はさまざまである。
良し悪し好き嫌いは嗜好の範囲だろうか。
建物を見るときにまず最初に視線に入る屋根の印象をつくる古建築の重要な要素でもある。



浄土寺浄土堂

浄土寺浄土堂

兵庫県小野市にある奈良期の浄土寺浄土堂は大仏様の建築様式である。
その特長のひとつである鼻隠しが垂木の先端に設けられている。
隅棟は稚児棟付きで冠瓦から先太りの鳥衾へと穏やかな反りである。
稚児棟と二の棟の熨斗の差が大きく、
稚児棟のそりも少なくその分一の鬼も小さくなり全体的にシンプルである。



奈良町の国宝元興寺極楽坊の隅棟は、ゆったりとおおらかな軒反りの屋根に
短いが先の反りがはっきりとした稚児棟の付いた隅棟で均整のとれたつくりが美しい。
少し成のある亀伏間瓦の冠瓦が載る低い目の隅棟は、
直線的な屋根反りに先端のそりを大きくしてあるが、
鳥衾の出は小さく小口も円で巧くできている。
屋根瓦の色が茶色くうすく見えるのは、行基葺で古瓦を再使用してあるためである。
京都東福寺六波羅門の大棟の鳥衾は、
鎌倉前期建立で高めの棟に角の付いた凛々しい鬼に長めの鳥衾は先端が尖り気味にみえる。
それを和らげるかのような平式破風瓦の妻側の箕甲は気品が有りなかなか美しい。
鳥衾の先端に見える棒のようなものは避雷針で文化財を守っている。

鳥衾のスクエアーの小口は円形に近いほどおだやかに見えて美しい。
反りに合わせ斜めに切り込むほどに小口は楕円となる。
お堂には稚児棟のつく隅棟が多いが、
一の鬼と二の鬼の鬼板の間隔や熨斗の枚数や反り加減で表情は変わる。
例外も有るが短いものは古い時代に多く近世になるにつれ長く反り上がり尖りぎみになるようだ。



薬師寺本堂軒先廻り

東大寺法華堂礼堂正面

奈良町の国宝新薬師寺本堂の鬼板の間隔は短いが
隅棟のバランスもよく力強いなかにも伸びやかな軒によく似合っている。
はっきりとした年代は不明だが天平期のおおらかな建物であり、
柱頭に大斗、肘木で構成される建物である。
東大寺の法華堂(三月堂)は鎌倉期の正面礼堂 raidou と
天平期の正堂をつなぎ合わせた建物である。これも美しい。
余談だが、法華堂正堂内の中央あたりに、向きの違いだけなのか組み物の大きさの違う斗がある。
何かの時点で入れ替わったのかもしれない。大きさの違う斗は東寺にもあったように記憶する。
食堂か講堂だったか南面の左手に一カ所あると記憶する。
大きさが違うのは斗の向きのせいだけなのか、未だ少し気にかかっている。



前庭のジンチョウゲの蕾もにぎわい始めた。
始月大寒を迎える頃、寒さが峠にさしかかると蕾もやっと白く色づき始める。
綻ぶほどにはまだまだ時間のかかるジンチョウゲだが、
寒さも和らぎ窓先から馥郁と咲く穏やかな日が待ち遠しい。

 

***