人と自然と建築と

nonobe's diary

Vol.14「works - 02」(07年2月)

-------おいしい水

 

駐車場から事務所まで、すこ~し長い道すがら寺町筋の
ウインドウを見ながらから歩きます。
御所南の寺町筋は骨董品店などのウインドウに
生け花がのぞいていたりして、なかなか楽しめます。
季節ものをうまく見たてて生けてあったり店主の
心づかいもうれしいものです。
(事務所は御幸町夷川ですが)二条通りから御池あたりにかけては
看板店やら錫を加工したお店やら軒並み眼を楽しませてくれます。
この辺りから何故か離れられない訳はこのあたりなのかも?と。
そういえば仕事に飽きたら?、ぶらぶらしているのもそのせいでしょうか。

 

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下御霊神社:お水を貰う手水舎はこんな感じです。

 

寒くなるにつれ、暖かい飲み物がほしくなります。
あったかいお茶やコーヒーをいれるのには
おいしい水と相場がきまってます。
ぶらぶらと、いや、ふらふらかもしれないが
梨の木神社や近所の下御霊さんによくお水をもらいにいきます。
下御霊さんは寺町筋を丸太町通りから少し下がった東側にあり、
ポリタンク数個を持っているひともときどき見かけはしますが、
意外とすいてます。拝殿に手をあわせ、お水を貰って、
手水社の賽銭箱にお賽銭をいれてウキウキ元気に事務所に戻ります。

 

 

-------セカンドハウス/mizuho

 

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●車の上のほうにみえる窓はkittenの流し台の前のまどです。山の木立が気持ちいいです。

 


このセカンドハウスのある場所は京都市内から
北に1時間ほど車を走らせた瑞穂町というロケーションのよい山間にある。
長岡京に住むオーナーであるY.K.さんとY.obst.& ginec.の
院長である息子さん一家や嫁がれた娘さんたちが
バーベキューを楽しみにやってくる。
床は、段差を少なくして内やら外やら
駆けずりまわれるようにつくってあり、
普段お住まいになられている住処の感じとは
少し異なる木質系で構成してある。

 

 

-------木構造


建築という行為についてどんなことがお話できるか、
そしてどれだけ分りやすくお話できるか迷ったのだが、
空間や間取りそれに素材や色彩などに重きをおいて書くよりも
木構造の在来工法でこんな表現もできるということを
理解して頂ければと思い、木構造の構造空間の
表現の一例としてご紹介しようと思う。

セカンドハウスという特殊性もあるのだが創るうえで、
どこで常の住処と線を引くのかは難しい。
強いて言えば、ロケーションと地域の法規制からくる
外見の表現ぐらいだろうか。といってもどこがどうのという
こともない気がする。結局はことばで「常の住処」といえばそうなる。
図面に「居間」と書けば、居間として
機能するかのような気がするのと同じであろうか。

いつだったかずいぶんと前に何かの雑誌で
「うろうろするところ」とか「ごろごろするところ」などと書かれた
間取りの図を見たことがある。
ここは、1階2階をそれぞれ「広間1」「広間2」とよんである。
特に意味はないのだが、ただそう呼びたかっただけである。
スケッチをしているときにそう感じ、
ただ何となくそういうものを創りたかった。
フレキシビリティを感じる「場」を。

 

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●横張りの少し荒いめのスクリーンに、
 真鍮で造った表札を埋め込んでみました。

 

 

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●鉄で出来た筋違の止め金物

 

 

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●Second House-mizuho / wood structure
photo TEAM87

 

 


かたちは三角形に四角をくっつけたようなプランである。
外壁が仕上がっていない構造フレームだけの
次ページの写真を見て頂くとその形態がより明確になってくる。
なにか模型飛行機のような骨組みに見え、
また何かの骨格のようにもみえる。
このくらいのスケールになると少し華奢な感じも受けるのだが
実際まぢかで見ると結構力強い。
よこに通っている大きな梁は13メートル程あり一本ものである。
この梁とツインの柱の通りが45°に交差しているのだが、
交点は柱で受けていない。
60センチほど控えたツイン柱から跳ね出された
梁で中央を指示しているデザインである。
そのためガラスの壁面は構造体による束縛がなく、
より自由なファサードのデザインが可能となり、
このロング梁は13メートルも飛んでいるかのように見え、
ガラスの壁面はより均質な表情を表現できる。
勿論、竪に入ったガラス枠の見つけ
6センチの竪子もいざというときには、
はめ殺しのガラスと一体化し変型を防ぐのである。

屋根を支える成が18センチある垂木はそれを受ける梁の間隔
を少し広くしてあり、連続した登り梁のような構造にすることで
壁面同様に均質な表現を可能にし、また軽快な感じにできる。
壁の柱も必要以上の化粧柱を出さず大壁のなかにとりこんである。
同一面で柱などを見せたり隠したりするためには、
材料の断面寸法を変えるか同一部材を偏芯させるかである。
その為に生じる見え掛かりの納まりには必要以上に気を配る必要がある。
より心地よく過ごせる様に少しでも夏の暑さを防ぐように、
屋根と壁は二重になっておりその間を暑く湿った空気がぬけるようにしてある。
手をかざすとかなりの風量が抜けていくのがわかる。
写真を見てお分かりになると思うが軒や庇部分が薄く出来ているのは
こういった構造により表現できる。

雨期には湿った空気が動くことで湿気が緩和され、
冬期はこうすることで暖められた空気が登り内部結露を
起こしにくく壁面の結露による障害を多少でも緩和できるのは心強い。

 

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●桁の交点に柱はない。
 少しひかえてツイン柱を設けてある。
 建て方も始まったばかりです。

 

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●2階の「広間2」からのビュー
 交差部の内部のディテール

 

 


2階の「広間2」の部分は小屋裏部屋的ではなく充分な空間にする為、
軒の高さを少し高くしてあるので下の空間はかなり大きく感じる。
勿論ガラス面による開放感は言うまでもないが、
ななめのぶんガラス面の長さ(45°なので約1.4倍になる。)が長くなるのと、
ガラス面が吹き抜けから2階までのびその先がアイストップとならないことが、
より実際よりは大きく感じるのだと思う。

また、入り口は三枚引き込みのガラス戸にしてあり引き込んだ時、
エントランスにも庇が延びているので、
外そと と内うち はより有機的につながる。
造り付けのベンチの延長を、内うちの土間まで伸ばしてあるのだが
ここに腰をかけるととてもここちよい。

いつも建物のことをご紹介するとき思うのだが、
どのカットをどのようにお見せしたらよりわかっていただけるか、
より感じていただけるか、難しいかぎりである。
かなりの舌足らずな自己満足的な表現であると自己採点しているのだが。

最後に、この建物を演出する小物たちの紹介で終わらせていただこう。
次ページの上、右から土間の壁に設けられた
コート掛け(下の左写真に見える。)と2階のベンチ脇に埋め込まれた木製のヒートン。
そして次ページ下の写真左から階段手すりの木口と
下の左写真に見える「広間1」〜土間にもうけられたベンチの背もたれの木口である。

 

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●壁面全体が窓になっています。
 土間づたいの入り口のガラス戸は三本とも引き込まれオープンとなり
 外そとの土間と内うちの土間が一体化します。

 

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●浴室とテラス
 窓は片引き込みでガラス戸の枠は見えない納まりにしてある。
 テラスに立ってみると判るのだが、低い手摺で手摺子もなくして
 あるので少しでも恐さを感じさせない工夫をしてあります。

 


一口に木構造とは言っても伝統的工法から現在にいたるまで
いろいろな工法が考えられ、仕口の造り方ひとつで、
現在では木造ラーメン構造まで可能になっている。
今、私の事務所では連続格子組による耐力壁を用いた構造
(構造計算上は余力として期待してある。)で
そのままそれが意匠となる御堂の工事が進んでいる。
機会があればご紹介しようと考えている。

木構造そのおもしろさは留まることはなく、
テクノロジーの進化により可能な限りの展開をしていく事だろう。

 

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●左の上下にみえるのが木製ヒートン。
 引っかけ金具です。右は木製のコート掛けです。

 

 

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●手摺の木口です。ビーンズと呼んでます。

 

 

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●下の広間のベンチの背もたれです。
 こんなかたちをしています。背が汚れてきたらこんどは
 ペーパーコードを巻いたら綺麗だと思います。

 



 

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