人と自然と建築と

nonobe's diaryーArchitect Message

endless thema -147------ 十一月/記憶

 

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今年もルリタテハは育っていった。子達の食べ残しのホトトギスには、今は花が咲き始めている。小さなさくらんぼのような蕾だったヤブコウジの実も寒さにゆだねられ色づいている。ふと、陽だまりの暖かさがうれしくなる。

 

 

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新聞の切抜きから、阪神・淡路大震災( 1995年1月17日 )で被災した神戸市役所2号館の記事がでてきた。

2号館は1957年に建てられた。周辺の再開発も含めた超高層ビルに建替の計画が進んでいると聞く。

 

震災当時、私は建築ボランティアで訪れ(バックナンバー 人と自然と建築と/endless thema -45  )、崩れた中間層部を目の当たりに見ながら階段を昇り降りし、現実でありながら映像のような狭間の世界の体験が記憶に残っている。今にしてみれば写真にと思うところだが、そう思えぬ気配と緊張感であったように思う。

 

あれからもう27年経とうとしていると思うと感慨深いところである。

下層部を残し改修再利用しつづけた2号館は、昨年の暮れから解体が始りその面影はなくなりつつある。風景は変わり、その崩れ落ちたという視覚的な記憶だけを省いては、少しずつだが薄らいでいくようにも思う。